ボーはおそれている
(Vtuber の台本)
字幕:映画の感想
字幕:ボーはおそれている
映画館で「ボーはおそれている」を観てきました。
2月16日、公開初日の昼間の回に行きました。
字幕:映画終了後の客席
お客さんの入りは、ざっと30人くらいだったでしょうか。
映画が終わった後、照明が点灯した時のお客さん達の感じは、皆さん少し疲れた様子でした。
さすがに3時間ですからね。
それでは、ネタバレ感想に行きます。
字幕:ネタバレ注意!!!
(少し、間を空ける)
結論を先に言いますと、個人的には「まあまあ楽しめた」といった感じでした。
一貫したストーリーを語るというよりは、オチの無いショート・ストーリーを次から次へと見せていく映画です。
オチは有りませんが、場面場面の境目には小さな破滅(カタストロフィ)が用意され、それを切っ掛けに場面が転換します。
次々に現れる奇妙な世界観と小さな破滅、その連続をボーッと眺める、そんな映画だと思います(ボーだけに)
あんま、意味とかは追わなくても良いかな、と、個人的には思いました。
上映時間に関して言うと、3時間は流石に長かったです。
席に座りっぱなしで、お尻が痛くなりました。
アリ・アスター監督の前2作品で使われていた要素が、今回も使われていました。
主人公は神経質で、人間関係の構築が苦手で、自己主張できない気弱な性格。
物語の序盤で主人公の家族が死ぬ。
最愛の人だと思っていたのに、あなたは私の悲しみを分かってくれない。 私の悲しみに寄り添ってくれない。
可愛らしさとグロテスクが半ばする、作り物の世界。
全裸。振り珍。
それに加えて今回は、母親が明確な悪意を持った「敵対者」として主人公の前に現れます。
「ミッドサマー」の彼氏は、鈍感で無神経で自己中な男の典型、って感じで主人公を苦しめますが、明確な悪意や敵意は無かったと思います。
今回の母親は、憎悪(愛憎)を持って主人公を苦しめます。
ここまで書いて、ふと、「新世紀エヴァンゲリオン」を思い出しました。
アリ・アスター監督と、庵野秀明監督って、少し似ているかもしれません。
「ヘレディタリー」が家族もの、「ミッドサマー」が田舎もの、そして今回の「ボー」は道中ものです。
道中ものとは言っても、強い意思を持って目的地を目指すというよりは、状況に流されつつ前へ進む、といった感じですね。
感心したのは、映画内で発生した「状況」の多くが、「今のアメリカ社会なら、さも有りなん」というリアリティの一線をちゃんと守っている事です。
明らかに主人公の妄想だろうという部分も少し有りますが、映画内で起きる奇妙な出来事の多くは「病める現代アメリカあるある」の詰め合わせ、って感じです。
例えば、ゾンビのような麻薬中毒者とか、上半身裸でサンバを踊り続ける男とか、全裸で誰彼かまわず切つけてくる男とか、集団強盗(フラッシュ・ロブ)とか、有害な物質を飲むティーンエイジャーの「チャレンジ文化」とか、森の中のヒッピー劇団とか、精神を病んだ戦争帰還兵が銃を乱射するとか……
「シュールに見えるけど、現実でも起こりうる」
というギリギリのリアリティ・ラインを守っている中に、ポツリ・ポツリと本物の妄想シーンを入れ込んでいる訳ですね。
とても知的な感じがします。
一方で「暗い魂」みたいなものが感じられなかったという点では、少々物足りなかったです。
「へレディタリー」の時には有った、観客の胸ぐらを掴んで物語世界に引きずり込むような、暗く燃える魂が有りません。
母親との確執も、正直言って、取って付けたような感じが否めませんでした。
良い意味でも、物足りないという意味でも、作りがライトでポップです。
「へレディタリー」監督の最新作を気負って観に行く、というよりは、ポップでシュールな悪夢系アート作品に3時間浸ってみる、くらいの気軽な感じで観に行くのが良いと思います。
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