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禁じられた遊び

字幕:「禁じられた遊び」の感想

字幕:前半ネタバレ無し、後半ネタバレ有り

良い映画を褒ほめます。
詰まらない映画も褒めます。

信じる・信じないは、あなた次第。
「今日も優しく、うそを語ろう」

映画「禁じられた遊び」をアマゾン・プライム・ビデオで観ました。

中田秀夫監督によるホラー映画です。

フランスの同名クラシック映画とは、特に関係は無いようです。

清水カルマの原作は未読です。

この「禁じられた遊び」を観ながら、ふと、以下のような事を思いました。

「あ、そうか……現在のJホラーは、ホラー映画というより、ティーン・エイジャー向け映画なんだ」

まず何よりも、中学生・高校生向け映画であることを最優先に作られた映画なんですね。

1990年代から2000年代前半に作られた往年のJホラー……例えば黒沢清の作品とか、それこそ中田監督自身の「リング」とは、別のジャンルと思った方が良いのかもしれません。

ちょっと強引かもしれませんが、ティーン・エイジャー向けの作品という意味では、むしろ「世界の中心で愛を叫ぶ」とか「君の膵臓を食べたい」とかに近い映画と言えます。

いや僕、「セカチュー」も「キミスイ」も観ていないので、半分くらい思い込みで言ってます。

もしも僕が高校生だったら、初デートの時に、リドリー・スコットの「ナポレオン」より、この「禁じられた遊び」を選んだと思います。
そういう意味では「10代のライト層に向けた映画を作る」というコンセプトに沿って真面目に作られた良い映画だと思いました。

年齢的に言って、ちょっと僕向きじゃなかったな……というのが正直な感想ですが、この映画が悪いわけじゃありません。
いい年齢とししたハゲオヤジのくせして、この映画を観ようと思った僕の方が場違いだったのです。

あ、ちなみ僕、ピチピチのバーチャル17歳です。
もちろんバーチャル美少年のバーチャル高校生です。
念のため。

良かった点を言います。

にもかくにも、まずは橋本環奈でしょう。
彼女の主演作を観るのは、これが初めてでした。
「千年に一人の美少女」という噂は聞いていましたが、なるほど才能と美貌に恵まれた素晴らしい女優だと思いました。
劇場の大スクリーンでこそえる美しい顔立ちです。
ただ、「恐怖や驚きを感じた時の表情」は、もう少し抑制しても良かったかな、とも感じました。
一般的には、恐怖や驚きでカッと目を見開くのは人間の本能にそくした「正しい演技」です。
しかし彼女の場合、あの大きな目がさらに見開かれると、その表情に観客の注意が行き過ぎるように思われます。
もともと大きな目の彼女だからこそ、ほんの少し目を見開くだけで充分な気がしました。
それと、これも噂ですが、彼女は大の酒好きで、しかも酒豪という話を耳にします。
彼女の台詞せりふを聞くと、なるほど喉が酒に焼けてしゃがれているようにも感じます。
このために、演技の幅が幾分いくぶんせまくなっているように思われます。
俳優という仕事は、自らの肉体で何かを表現するといういう意味で、スポーツ選手に似ています。
余計なお世話かもしれませんが、体のコンディションを安定させるためにも、お酒は程々でめておいた方が良い。

場合によっては、なるべく彼女の身長が目立たないように、角度などを工夫して撮影するという配慮も必要でしょう。
これは、彼女自身というより、監督とカメラマンが気を付けるべき事です。

この「禁じられた遊び」の出演者たちは、みな存在感のある優れた役者ばかりでした。
その中でも、橋本環奈の存在感は別格でした。
例えば、トム・クルーズが映画のスクリーンに現れると、まるでスポットライトが当たっているかのように、そこだけ輝いて見えるという不思議な現象が発生します。
この映画の橋本環奈にも同じ現象を感じました。
彼女には、それだけのスター性があるという事でしょう。
これからも映画の大スクリーンで活躍して頂きたい。

では、これから少しネタバレの話をします。

字幕:ネタバレ注意!!!

(少し、間を空ける)

この映画のメインとなる仕掛けは、「一度死んで蘇った者の霊力は強い・恐ろしい」という設定に依拠しています。

この情報を与えられた時点で、登場人物および観客は、これを母親の事だと思い込みます。
この思い込み(ミス・リーディング)を利用して、

1、母親の幽霊を退治。良かった、良かった。一件落着。
2、実は、息子が犯人でした! ぎゃーっ!

という2段構えのラストになっています。

ミス・リーディングに基づいた(にせの)解決を一度見せて、観客をホッとさせておいて、「実は……」と続ける。

これは、Jホラーの傑作である「あの映画」と同じ手法です。
ただ「あの映画」のゾッとするような恐ろしさに比べると、この映画のオチは弱く感じられました。

そろそろ、僕の感想をまとめましょう。

「毎年毎年のプログラムに沿って製作・公開されるティーン・エイジャー向けホラー映画、その数本のうちの1本」という、企画段階でこの映画に与えられた役割を、キッチリと手堅くこなした佳作だと思います。

では、今日はこの辺で。

(少し、間を空ける)

「僕の言うことは全て、うそだ」
と、クレタ人が言った。
「今日も優しく、うそを語ろう」

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