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【PM】リスク=危険 ではない

プロジェクトマネージメントでよく使う、「リスク」という言葉。

頭の中で「リスク」を「危険」と訳していませんか。

リスクとは、余程の大遅延や、天災に見舞われるような事態だ、と思っている人が多いのではないでしょうか。

確かにそれらもリスクであることには間違いありませんが、それだけではありません。

リスクとは

国際的なガイドラインである国際化標準機構では「リスク」は以下のように定義されています。

目的に対する不確実性の影響

不確実な出来事による影響が「リスク」と定義されています。

システム構築をしていると、様々な不確実な出来事が待受けています。
それらを幅広く「リスク」と捉える必要があります。

PMBOKでは、以下のように説明されています。

発生が不確かなイベントまたは状態。
発生すると、プロジェクト目標にプラスやマイナスの影響を及ぼす。

マイナス影響だけでなく、プラスの影響を及ぼすものもリスクとされています。

作業工数見積り

プロジェクトの作業工数を見積る際、リスクに対処するために使用する費用であるリスク対応費を積みます。

リスク対応費には、以下の2種類があります。

  • コンティンジェンシー予備

  • マネジメント予備

コンティンジェンシー予備は、既知のリスクに対するものです。
プロジェクト内の予算に組み込まれていて、基本的にPMの判断で使うことができます。
プロジェクトのリスク対応費といえば、通常はこのコンティンジェンシー予備を指します。

マネジメント予備は、未知のリスクに対する備えです。
プロジェクトのベースラインには割り当てられない予算で、PMの上位者の承認が必要になります。

具体例

ITシステム構築プロジェクトにおけるリスクの具体例をいくつか挙げます。

社内の過去実績において扱ったことのないアプライアンスやソフトウェアの設計・構築が、経験不足のために遅れがちになる。

プロジェクトメンバーのスキルが不足していて、作業ミスが多くなる。
また、スキル不足のために、タスクの振り先がなくなってしまい、進捗が滞る。

作業を外部発注する先のベンダーの動きが悪い。

お客様側が全く別の要件で多忙となり、プロジェクトを進める上で必要な打合せが出来なくなる。

プロジェクトメンバーの体調が悪く、休みがちになる。代わりがいない。

どれもよくありがちな「不確実性」です。
滅多に起きない大災害ではないのです。

値切り

提案時の作業工数見積り段階で、リスク対応費をやたらと削りたがる営業さんがいます。

リスクを火事や天災のように余程のことでなければ起こらないことだと考えていて、そのための費用を積んでいることに納得できないという意見のようです。

しかし、リスク=危険ではありません。

リスクは、不確かさによって起きることの影響です。

新しいものを作るのがシステムインテグレーションな訳で、新しいものを作るのに全て予定通りに進む、なんてことは、まずあり得ないのです。

リスク対応費を火事が起きたときのためだけの費用だと思ったら大間違いです。

新しいものを作るとき、それは不確実性の連続です。
リスクはそこらじゅうに潜んでいるのです。

まとめ

リスク=危険ではありません。

不確実性による影響が、リスクです。

新しいことをやろうとする限り、リスクは身近に潜んでいるのです。
それを乗り越えていくための費用がリスク対応費、コンティンジェンシー予備です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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