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【シン・エヴァ見てきた】 変わりゆくもの、変わらないもの。



見てきました。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』。

水曜日の昼間から、仕事をサボって。
ビール飲みながら。

在宅勤務に、ありがとう。
裁量労働に、おめでとう。

※この先、ネタバレを含みますので、まだ見ていない方、これから見る予定の方はご注意ください。

また、普段は転職やキャリアについて真面目なことを書いている私ですが、本日は完全なる「私情」により、単なる映画の感想を書くことをお許しください。


東京都心はパラレルワールド



一言でいうと・・・
「よく分からなかった」というのが感想です。

まあ、エヴァンゲリオンは常にそんな感じですね。

恐らく「エヴァ的」には伏線は全て回収したってことなんでしょうけど、なんだか分かったような… 分からないような…


やはり、私の頭ではちょっと消化しきれない部分も多々ありました。

ただ、この「訳の分からなさ」こそが「エヴァンゲリオンの本質」だとも思いますし、ある意味で、期待を裏切らなかったな、という印象です。


そして、一つだけ明確に分かったのは、
「これで、エヴァは終わったんだな」ということ。

確かに「終わった」という感じはしました。
正直スッキリしたのかというと若干微妙だし、この映画が果たして面白かったのかどうかも何とも言えません。

ただ、どうしても見ずにはいられなかった。
仕事をサボってでも(オイッ!笑


私は今日、ある東京都心の結構大きな映画館、一番大きなスクリーンのプレミアシートのど真ん中の席で見たんですが、なんと平日の昼間にも関わらず、館内はほぼ満員、そして私と同じアラサーが中心、スーツ姿のサラリーマンも沢山いて、恐らくほとんどの人が1人で見に来ているのか、上映後も誰も周りの人と喋ってない、という「ガチ勢」多数の異様な光景でした。

そりゃそうか。公開直後の平日にわざわざ見に来てるんだから。



「エヴァの最後」を見て思ったこと。



たぶん、訳の分からない数々の中二病キーワードや、意味不明な世界観は実はどうだってよくて、これは、「訳の分からない状況」のメタファーなんだと思います。

ノストラダムスだってそう。
リーマンショックだってそう。
パンデミックだってそう。
上司のパワハラだってそう。
社内の組織変更だってそう。
40歳以上社員の一斉リストラだってそう。



私たちは日々、意味の分からない状況の中、理不尽な現実を突きつけられて生きていて、そんな人生の中でも、年月と共に変わっていくものと、自分の中でずっと変わらないものがある。


変わらないシンジ君。
変わってしまったミサトさん。
変われなかったゲンドウ司令。
変えようとするマリ。
私は変わったと言うアスカ。
いつかのように、徐々に変わっていくレイ。

そして、実は変わっていなかったミサトさん




エヴァンゲリオンの最初のTVシリーズが放映されたのは1995年。私は小学3年生でした。2021年、そんな私が34歳の立派なオジサンになり、わざわざ仕事をサボってエヴァのラストシーンを見に行っています。

26年ですよ。26年。

私にとっては、身の回りのほぼ何もかもすべてが変わりましたが、20年以上ずっと変わっていないのは、オジサンになった今も、エヴァやハンターハンターの続きを楽しみにしていることと、宇多田ヒカルと椎名林檎が好きなことくらいです。




カヲル君は、ATフィールドは「心の壁」だと言っています。今作中でも、アスカやゲンドウが自分自身の「心の壁」によって自分の行動を阻まれるシーンがあります。

今まで散々、使徒の攻撃から身を守る為に「ATフィールド全開!」とか言ってたのに、いざという時に、自分の心の壁が自分の思い通りの行動をできなくしてしまう。



26年の月日を超えて、訳の分からない沢山の状況の中で、子供が大人になる為には「他者を拒絶する心の壁」を壊さないといけなくて、この、一人一人が悩み苦しみながら大人になっていく過程こそが、エヴァンゲリオンという物語が最後の最後に描きたかったものではないかと、私は思います。



子供のままのシンジ君。
大人になりたいアスカ。
子供を何度も繰り返すレイ。
大人になれなかったミサトさん。
わがままな子供のままだったゲンドウ司令。
実は誰よりも大人だったマリ。

そして、最後には大人になるシンジ君




途中、このストーリーの主人公は、初めからシンジ君ではなくゲンドウ司令だったのではないかと思えてくるシーンもありました。

最愛の妻にどうしてもどうしても、もう一度会ってサヨナラを言いたかった、コミュニケーション能力ゼロの弱くて幼い子供のままだったゲンドウ司令

そんな異常な父に振り回され、誰からも愛されず、反抗期の子供のまま、14年も経っても身体さえ子供のままで、文字通り、大人になりたくてもなれない可哀想なシンジ君



「周りから必要とされること」で徐々に自信と優しさを身につけ、苦悩と葛藤を乗り越えて、そして、父よりも先に大人になって、26年もかけて、やっと陽キャになれたシンジ君。ラストシーンは巨乳彼女とイチャイチャ。

これを、ほぼ「陰キャの集まり」でしかない、「26年経ってもエヴァを卒業して大人になることができなかった」世界中のエヴァファンに見せつけるとは…


鬼畜か… 
庵野監督。。。



この映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、

「お前ら、いつまでも26年前のアニメなんて見てないで、いい加減大人になれよ」

というメッセージ
だったのかもしれません。




ちなみに、私はエヴァンゲリオンの1,000倍くらいは宇多田ヒカルが好きなので、宇多田ヒカルが新曲を作ってくれるというだけで、もうこの映画には最高に素晴らしい価値があると思っています。




「残念な大人になってしまった人たち」のストーリーはこちら



おしまい。


お相手は、安斎響市でした。





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