映画『ハウス・オブ・グッチ』を観てきた
昨年10月に公開された『最後の決闘裁判』、この月は個人的に楽しみにしていた作品が次々と公開され(『DUNE』など)、優先順位の低かったこの作品は観ることができなかった。評判がすごく高かったので、この作品について触れられた文章などを見る度に、残念な気持ちが浮かんでくるといったここ数か月を過ごしていた矢先。
同じくリドリー・スコット監督作品である『ハウス・オブ・グッチ』が一月に公開されるという情報が入ってきた。この映画を観て、決闘裁判への気持ちを供養しよう、ということで公開二日後での鑑賞に至った次第。
先日の『ドライブ・マイ・カー』に引き続き、かなり席が埋まっており、またしても最前列での視聴。京都と比べて神戸には映画好きな人が多いのかな、なんて思いつつ。スクリーンが想像以上に大きかったこともあり、辛い時間になることを覚悟したが、そんな心配は杞憂に終わった。
音楽と華のあるファッションをフルタイムで楽しめたことに加え、展開はスムーズ且つ先も気になりで目が離せない。加えて無駄なものが目に入らない最前列というのが作用した、物語、或いはスクリーンへの没入感の高さ。これらの条件が揃った状況においては、体勢の辛さなど微塵も感じることはなかった。
ストーリーはドロドロという言葉がぴったりな一族内の内紛を描いており、その中での登場人物らの心情の変化する過程が面白い。個人的に題材となった事件を知らなかったこともあり、いかにして彼女は地位を築いたのか、なぜ犯行に至ったのか、決断のタイミングはどこだったのか、などなど。疑問点が鑑賞しながらでもどんどん生成される感覚も新鮮。
次に言及しておくべきは俳優陣の凄み。主演のレディー・ガガは勿論、夫を演じたアダム・ドライバーの表情の変化(特に視線)、絶妙なセリフの間などは本当にリアル。少しづつ欲に狂っていく姿と、言うなれば完成形態ともいえる物語の終盤の立ち振る舞い。カッコよさすらあった。
アル・パチーノとジェレミー・アイアンズの兄弟コンビの貫禄は言わずもがな。やはり特筆すべきはジャレット・レトだろう。全然気付かなかった。立ち位置的には、彼の最後も含めて言葉にならない、といった印象だが、その哀愁の表現は見事。いやはや、本当に見事な俳優陣でした。
最後にはなるが、やはり誰でも知っているブランドとあって、「こんなことがあったのか!」という感覚で、人を選ばず楽しむことができるのではないかと感じる。他にも有名なブランドや人名も出てきますし、服が好きという方は尚更。是非鑑賞してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。