コンテンポラリーダンスって何なんですか? パート2 ~コンテンポラリーダンサーが考える、コンテンポラリーダンス“再”入門~


<同時代とは何か?コンテンポラリーダンスから見る現代社会>

コンテンポラリーダンスをやっている当人が、その説明に困ってしまう原因の一つが実は、このコンテンポラリーダンスの日本語訳、「同時代のダンス」というところにある。
「同時代」とはつまり、「今、私達が生きている時代」のことだ。
つまりコンテンポラリーダンスは、「今私たちが生きている時代のダンス」と言い換えることが出来る。

なので「コンテンポラリーダンスって何なんですか?」と聞かれる事は「今の時代って何なんですか?」と聞かれるのと同じくらい難しいことなのだ。
まじめにコンテンポラリーダンスと向き合っているダンサーであれば、あるほど、この問いに答えることは難しい。


一応、ネットで調べると、「コンテンポラリーダンス」の説明がこう書いてある。
コンテンポラリー・ダンス - Wikipedia
初めてコンテンポラリーダンスという言葉を知った人は、これを見ることで、逆に謎が深まるかもしれないが、興味と時間があれば、ぜひ読んでいただきたい。
加えて実は、西洋における“コンテンポラリーダンス”の定義と、日本における“コンテンポラリーダンス”の定義は微妙違うという事も言っておかなければならない。その事が更に“コンテンポラリーダンス”を説明することを難しくしているともいえる。

日本におけるコンテンポラリーダンスの定義については、多くの専門家によって様々な議論がなされてきた。しかしその定義は、先ほどのウィキペディアのリンクを見た方は分かるかと思うが、調べれば調べるほど掴めない。なんなら、その「掴めないこと」自体がコンテンポラリーダンスの本質であるともいえるのである。

もうそろそろギブアップしたい方に向けて、もう少し砕けた話をしよう。

人の数だけ個性があるように、人の数だけ踊りがある。
その中には、独特で、その人にしか踊れない、ジャンル分け出来ないダンスがある。
コンテンポラリーダンスはそんな、ジャンルでくくれない「その他のダンス」の総称、最大公約数的な名称の一つと、まずは考えて頂くのが良いかと思う。

その上で、コンテンポラリーダンスは「同時代のダンス」というくらいだから、同時代=今が変化すれば、変化するダンスである。
この文章の冒頭で、ダンスがSNSによって身近になり「誰もが“ダンサー”になれる時代」と書いた。
一昔前までダンサーとは、厳しい訓練をしてきた者にだけ与えられる称号だったが、今やダンサーの定義は変化したといえる。ダンサーだけでなくダンスもまた、少しずつその定義を変化させている。
バレエも、社交ダンスも、伝統芸能でさえも、時代と人々の考え方が変われば、ゆっくりとではあるが、着実に変化していっているのである。


そんな時代の変化に最も敏感な「変化の最前線」、それがコンテンポラリーダンスだと考えてもいいかもしれない。

ちなみに私はコンテンポラリーダンスを短時間で人に説明しなければならない時まず、「“カタチ”のない自由なダンスです」といって、「は?」というリアクションをよくされている。
もう少し時間が許す時は、「同時代のダンスと訳される外来語」であるとか、「その他のダンスの最大公約数的な名称の一つ」「変化の最前線」などと言葉を尽くして説明するが、そこで理解を諦めて、去っていってしまう人もいる。

それでも折れずに興味を持ってくれる稀有な人には、もう少しマニアックに
「私個人的にはコンテンポラリーダンスって、ダンスのジャンルっていうよりも、同時代とは何か?ってことを考えることで、現代社会を生きてる私達が抱えている、色んな問題を改めて考えさせてくれる“装置”みたいなものだと思うんですよね。しかもその装置付けると、頭だけじゃなくで、身体で考えるようになるから、かなり深い問いにまで潜っていけると思うんですよね。」と話す。

ここまで耐えてきた人も、とうとうここで諦めて去っていくこともあるが、ここまで聞いて「なるほどね~」となる人も、少なからずいるのだが、皆さんはどうだろうか?

パート3へ続く…

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