失敗したプロジェクトの次にいい仕事をするために。

今までさまざまな製品の企画を担当してきましたが、失敗したものもありました。
失敗というのは、この場合は原価が高くなり赤字になってしまうものを示します。

製品開発には3年くらいかかりますが、私はある製品の量産まであと1年というところで担当になりました。

その製品はコストダウン製品として期待が高く、特別にプロジェクトチームが結成されてきました。

勿論、定期的に役員報告が実施されてきました。試作段階では順調にコストが下がる「予定」であることが報告され続けてきました。

しかし、私が担当した量産1年前というところで、量産図面が作成されたり、成型するための型が発注されるところで改めて見積もると、全くコストが下がっていないことが明らかになります。
今までの報告は技術確立がされていないものが上手くいく前提であったり、顧客がこちらの希望する仕様に変えてくれる前提であったり。
前提付きの報告でしたが、その前提の議論とリスク管理が甘かったのです。

私たちはBtoBですから、受注済の製品はしっかり品質を作り込んで納入する責任があります。
量産1年前ともなれば、優先すべきは性能と品質になり、コストは上がる一方。

役員からは目をつけられ、厳しいプレッシャーに晒されるようになります。
技術者は追い込まれて、休む人も出ました。

私と一緒に仕事をした後輩も、辛そうにしています。

そのとき、私は後輩に「僕たちは外部コンサルタントではないのだから、このプロジェクトが終わったら会社から去るわけじゃない。今回一緒に働いた技術者とも、いつかまた別のプロジェクトで一緒になる。その時にいい仕事が出来るように、今回を納得して終わらせることが僕らの役割だ」と伝えました。

確かにうまくいかなかったことがある。でもうまくいったこともある。
役員に否定されると取組も製品も悪かったと思ってしまうが、全てを否定してはいけない。
良かったことは良かったと言おう。でも、今回は甘かったことがあるから次改善しよう。
次はいい仕事をしましょう。

私は製造業で働いている事務屋です。
技術者のように設計開発はできないですが、彼らの能力を最大限引き出す責務があります。

うまくいかなかった時こそ、自分は何ができるのかを考え、成長する機会になると思っています。

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