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せんせいだけど、ケンカの仲裁をしない。その理由。


※一応ですが、子どもの名前は全て仮名としています。


おしゃべり上手なゆうこは、1歳児。

2歳児の仲良し2人、さつきちゃんと、かなとくんが遊ぶ人形が欲しくて後ろをついて回っていた。


さつきちゃんが人形を横に置いた瞬間、サッと手を伸ばして自分のものにすると、すぐにさつきに気付かれて人形の引っ張り合い。人形が痛い!と泣くくらいのお互い激しい勢いで取り合いをしていた。


数分後、なんと1歳年下のゆうこの勝ち!!!


満足気にしているゆうこを横目に、さつきちゃんは突っ伏して泣き出してしまう。かわいそうだと思ったのか、かなとがさつきに自分の人形を差し出すも、(わたしはこれにもびっくり!)さつきは機嫌がなおらない。どうするのかな〜と見ていると、さつきがわたしのところに泣きながらやってきた。


「取られちゃったね、残念だったね」

…泣き続ける


「どうする?違うので遊ぶ?それとも、取り返しに行ってみる?」

…こくんとうなずく


「ヨシ!じゃあ行こう!」


ゆうこに直談判。さっちゃんはわたしにくっついて、横から様子を見てる。

「ゆうこ、それさつきが使ってたやつ。返して!」


ゆうこは首を横に振って、

「やだー!ゆうこのー!」

と言って、返してくれなかった。


「さっちゃん、せんせい断られちゃったよ、どうする?」と聞くと、

今度はさっちゃんが自分で取り返しに!

返して!もなく、無言で怒りながらも人形をがしっと掴んでしばらくやりあった後、、最後はさつきの勝ち!!


さつき、よかったね!と一緒に喜んだが、


次はゆうこが、「取られちゃった〜」と泣きながら私のところに来た。


ゆうこが長く泣いていたので、そうだ!さっきかなとはさつきに人形を渡してたな、と思い

「人形借りてもいい?ゆうこに渡したいの」


と頼むと、なんと


「ヤダ!」

とバッサリ!!!!

えー!そんなにバッサリ言っちゃうの!?って思ったけれど、あぁ、これが友だち意識なんだな。とも思った。



2歳児でも、

自分と友だち、あとのよく見るクラスの子

っていう意識がぼんやりあって向いている意識が違うんだなぁって。自分の周りの人に対する意識の違いって、この子にもあるんだなぁって。


だいたい、4歳児くらいから貸し借りができるようになるのと言われているけれど、それまでは自分!自分!だと思っていた私も、あ、仲のいい友だちなら貸してあげられるんだ(泣いていたからだと思うけど)という発見。



タイトルでも書いてますが、喧嘩の仲裁をしない理由として、それは子どもの芽潰しにもなり得るからです。

最初の人形が泣き出しそうなくらいの取り合いの時に、仲裁をしていたら、


かなとの物を貸してあげる行動もその気持ちも、

さつきが取り返しに行くために最後は自分の力を出した事も

ゆうこの最後には取られた気持ちも


全部芽生えなかった。




取られて嫌だとか、おもちゃが欲しい!とか、

1.2歳児なら当たり前で、その時に、大人の決まり文句で

「貸して」「いいよ」でしょ?

のセットを擦り込んでも、子どもの感情が乗っかってないから相手にも何も響いていかない。ケンカにならずにうまくいったと思っているのは大人だけだったりする。



行動でぶつかって、ナンボな時期。


気持ちが動いてぶつかる経験もしないと、そのあと覚えていく言葉を、上手に使っていけないんじゃないかなぁ。というのがわたしの個人的な意見です。



もちろん噛みそうになったらケンカも止めたりするけれど、そうでない場合は少し見守ってみませんか?



見ているこっちはハラハラする時もあるのだけど、そのハラハラとは裏腹に、子どもたちはちゃんと学んでいるとわたしは信じています。



きっと、

トラブルはなるべく少なく楽しく過ごして欲しい!

が保育者の素直な意見だと思います。私もそうでした。


考え方が変わり始めたのは、柴田愛子さんの本を読んで、講演に行ってからです。


保育園って、その園のやり方と視野に狭くなりがち。狭い空間ですから。違う場所からの発信、新しい意見を聞いたり、読んだり、自分の認識とすり合わせていくと、そうか!っていう発見も、自分はこういう保育がいいな!っていう感情も、芽生えると思います。


保育者も明るく、楽しく、保育園に行けるのが一番嬉しいことかなって思います。やりとりが長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。



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