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中国 中国初医薬特許リンケージ事件に非侵害判決(4月15日)

北京知識産権法院はそのSNSサイトで、4月15日付、原告の中外製薬株式会社が2021年11月に温州海鶴薬業有限公司が中国発明特許ZL2005800098777.6(ED-71製剤)の特許権保護範囲に入るか否かの確認を求めた中国初の医薬特許リンケージ事件の公判を開催し、審理の結果、被訴ジェネリック医薬品は当該特許権の保護範囲に入らないと判断し、原告の請求を却下したことを速報した。

本件は、当サイトが昨年11月11日に中国初の特許リンケージ事件として報じたもので、2021年6月の改正特許法施行後初めての76条に基づく事件であるが、温州海鶴薬業有限公司は「エルデカルトールソフトカプセル」という名のジェネリック医薬品の上場許可申請をしていた。裁判所は審理において、当該ジェネリック薬に使用されている技術は、当該特許請求項1とは異なり、均等でもないため保護範囲に入らない。請求項2から6は請求項1の従属請求項であることから同様に保護範囲に入らないため非侵害であり、原告の主張を支持しないとの判断を下した。原告は法廷で上訴を表明、被告は一審判決を従うことを表明した。

同SNSサイトは次のように事件について紹介している。
事件担当裁判官は次のように述べている、医薬品特許リンケージ制度の重要な意義は、原研薬企業のために医薬品市場の確実性に対する判断を強化し、持続的に投入されることで業界の革新的な発展を促進するだけでなく、ジェネリック製薬企業はジェネリック薬の上場リスクを事前に確認し、盲目的に市場に上場し、訴訟で高額の賠償をすることを避けるとともに、さらにジェネリック薬の高品質な発展を推進することにある。原研薬企業とジェネリック製薬企業の利益をバランスさせることで、薬品の可能性を最大限に推進し、中国の一般が良い薬、安価な薬を入手できるようにしなければならい。

判決文もないので、どのような判断がされたのか不明であるが、SNSサイトの書きぶりからは新制度の成果を強調する内容になっているように感じるのは当職だけではないのではないか。侵害の一般規則、オールエレメント、均等論の適切な適用がされたのか、鑑定比較は適切な方法や担当者であったのかなど、判決文の公開と控訴の中で明確にされることが好ましいと考えている。

参照サイト:https://mp.weixin.qq.com/s/-9SocP2TLE20Xw7me3OxNw

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