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初任給じゃなくても、親には美味しい食事をごちそうした方が絶対にいい。【2022年の五悦七味三会を振り返る⑩】

やっぱり「美味しいお肉」ほど美味しいものはない。
世の中にうまいものは数多あれど、だ。

社会人になりはや数年。
一人暮らしでそこそこ頑張って仕事をしている僕は、財布が許す範囲で、自分の自由にお金を使うことができる。
どうやら相対的に食べ物にかなりきちんとお金をかける両親のもとで育った僕は(これも大学生の時に知った「親の人生観」のひとつだ。いつかゆっくり書こうと思う。)、大人になった今も、たまの贅沢をする時にはまず「食」と真っ先に美味しい食材かレストランを探してしまう。

「大人」になり、いわゆる「いいお店」に足を運べるようになって気がついたことがある。
それは。「お肉は(わりと)ちゃんと値段に比例する」ということだ。

もちろん世の中には「安くてうまい!」お店が実際にたくさん存在する。
吉野家とか、正直ありえないレベルで高クオリティだと思う。
それから残念なことに「高いのにイマイチ」というお店も実際に存在する。
雰囲気はいいのにね、ならまだマシだがそれもなく「なんぜ??」という時も残念ながらある…。泣きたくなる。
まあそんなわけで、必ずしも料理の味やクオリティは値段に完全に比例するとは言い切れないのがこの世界の現実だと思う。
めちゃめちゃ並んでるからって美味しいとも限らない。
だけれども。
お肉に関しては、かなりの確度で値段に比例して美味しくなっていくように思う。
特に「焼肉」「ステーキ」などといった複雑な調理工程が入らないようなもの(まあ当たり前っちゃ当たり前なんだけど…)。

そんな僕が2022年に出会ったのが都内のとある焼肉屋さん。
非常に有名なお店で、僕も名前は何度も聞いたことがあったが、値段がかなりスペシャルなので、そうそう行こうと思える日が来ないまま…。
ついに2022年、仕事関連の打ち上げ、半分接待のような形ではあったがその店を訪れることができたのだった。

(仕事であるにも関わらず)そこで食べたお肉は恐ろしく美味しく(通常仕事の接待で行くご飯なんてほぼ味がしないものだ)、そこそこいろんな焼肉屋さんに行ってきたつもりの僕だったが、それはもうあまりの違いに本当に驚いたのだった。

そして美味しいものは人を幸せにする。
幸せを分けたくなるくらい幸せになった僕は、「こんなうまいものはなんとしても大切な人に食べさせなくては…!」と思った。
それほど強烈に美味しかったのだ。
そしてその後、自分達のバンドで初ライブをやった夜、見にきてくれた家族を連れて、そのお店を再訪したのだった。

七味その④:ライブの後に家族で行った焼肉

「社会人になったら初任給で家族にご飯をご馳走」したことがある人はどれくらいいるだろうか?
そんな気持ちだった。
めちゃめちゃ嬉しくて幸せなんだけれど、どこかちょっと恥ずかしいし、なんか両親に自分が「おごる」なんて変な感じがして、やたら2人の顔を伺ってしまったりなんかして。
「こんな美味しいお肉初めて食べた!」とか「これはうまいな〜〜〜!」とか言われるたびに、お店の人でもないのに頬を緩ませて、まるで自分が作ったかのように「でしょ〜〜〜〜〜!」とか言って。
両親も誇らしそうでありながら、なんかちょっと照れてるというか、変な感じで、弟もなんか照れていた。
家族みんな笑顔だし、お肉は美味しいし、なんて幸せな瞬間なんだろう、と心から思った。
自分が稼いだお金を自由に使えるならこういう使い方がいいな、と心の底から思った。
そして実際まだ自由に使えるのだから、何度でもまたこういう会をやりたいなと思った。

両親が飲み物のメニューを見て、あんまり高いお酒を頼むのも…と一瞬葛藤して、でも「せっかくだからね〜!」なんて言って、結局ちょっと気を遣ったのか上から2番目の値段レンジのお酒を頼んでいたり。
僕はほとんど飲めないので結局ジンジャーエールをちびちびしていたり。
弟は何も考えていないのか、むしろめっちゃ考えているのかやたらとたくさんお肉を食べていたり。
僕はライブの疲れもあってなんだか全てが弛緩して、記憶の奥底の昔の家族のやりとりとか、昔みんなで行った場所とか、そんなことを思い出していたり。懐かしく振り返ったり。

お店を出るとき、酔った父親がお店の若い店員さんに「ありがとう、ごちそうさま」と言っていたのが今でも印象に残っている。
ものすごく丁寧にお辞儀しながら。
そして暖簾を出たお店の前の道で「ごちそうさまでした!」とちょっとおどけて、ちょっとかしこまって言う両親と弟の顔。
なんと返したらいいのかわからずちょっとおどけて照れる僕。

最寄りの地下鉄の駅から、家族は僕と反対方向の電車に乗って帰った。
電車の中から3人が窓に顔をつけて手を振る姿が、地下鉄と共に流れていく。

いいもんだな、と思う。
なんて幸せなんだろう、と。

両親、家族を美味しいご飯に連れていくというのは、できる時に、絶対にやっておいた方がいいことだと、ここに断言する!
初任給じゃなくてもいいから。
今が、いつだって一番早いんだから。

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