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ナクソス島のアリアドネ@Semperoper

自分が住んでいるロンドンからドレスデンは直行の飛行機がない為、行くのがやや億劫になる。だからよっぽどの事がないと行くことはないと決めていた。

今回行ったのは、余っている休みを潰す為。これが「よっぽどの事」かどうかというとやや疑問が残るけど、それは置いておいて、今回行って本当に良かった。

Semperoperの中はとても豪華な造りになっているが、ザルツブルグやミュンヘンのように見て見られる緊張感はあまりない。街も車が少なく非常に落ち着いている。それなのにオペラが終わった後でも営業している一応まともなレストランもある。←これかなり重要なポイント

この写真は、劇場内のレストランではない。バー・エリアの一部でナクソス島の舞台と想定されているウィーンの社交界の風景の再現だ。テーブルに座っている役者はスローモーションで動いていた。この奥では弦楽四重奏の演奏が行われていた。

アリアドネを前回聴いたのは、10年以上前にコリン・デーヴィスが演奏会形式でバービカンで演奏した時のもの。筋も解らず聴いていたし、こちらの気分的なものもあったのだろう。全く印象に残っていない。というか、リヒャルト・シュトラウスは初期のおどろおどろしいエレクトラ、サロメ以外はあまり聴く気が起きなくなってしまった。もともと喜歌劇系は好きではない。

今回は全く違う印象を受けた。なぜこうなのかは様々な理由があるけど、ドレスデンの落ち着いた街の雰囲気、座った場所の音響などの付帯的な要因も関係あるだろう。というかかなりその辺りも重要なのではないか?

オーケストラは30人程度の小編成であるため、かなり室内楽的に聞こえた。この利点は、各パートがハッキリ分離して聴こえる。それなのに最後の終わりの方は100名編成くらいの大オーケストラのような響き。

外れの歌手もいなかった上に、グールドの歌声が素晴らしく(11月末のハンブルグのジークフリートでのブリュンヒルデ役のリース・リンドストロムの声がトラウマになっているために余計素晴らしく聴こえていたのかもしれない)、これで一気にリヒャルト・シュトラウスの喜歌劇に持っているイメージが変わり、更にはモーツァルトの喜歌劇も面白いのではないかと思い始めている。


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