起業するかどうか迷うなら

2020/05/22 晴れ

起業すべきか、するべきでないか、や、転職すべきか、しない方がいいか、という、人生の中でも重大な決断には、緊張が伴う。

今までの慣れ親しんだ環境から飛び出し、どうなるか予測不可能な、未開の地に足を踏み入れるような感覚になる。

自分の過去を振り返っても、仕事を辞めよう、いや、まだ時期じゃない…いや、辞めよう!いや、でも…そうだ、本を読んで情報を集めよう!

…よし、起業しよう!いや、でもビジネスモデルは…?

やっぱりまだ働こう…でも、いつまで??

やっぱこの仕事辞めよう…でも、その後は…?

みたいな、あっちに行ったりこっちに行ったりする時期があった。大学の就活時期と、社会人一年目と二年目の境目くらいかな、けっこう悩んだ。

今思うけど、こうしてクヨクヨ悩んでいるときに、えいや!と行動していなくてよかった。ほんとに良かった。その時の感情に任せて行動していたら、今頃みすぼらしい人生を歩んでいたと思う。

まあ、今余裕のある生活してるわけではないけどね。

もし、本を読んで、感化されて起業なんかしてたら、起業したあとに、「で、どうやって食ってくの?」と自問自答して窮地に陥っていたと思う。

行動することは本当に大切なんだけど、同じように熟慮も大切だと思う。その基準は、失敗の結果によって生じる責任を、自分で負うことができるかどうかだと思う。

負える範囲では、思いっきり行動して、そうでない範囲においては、じっくり考えるべき。

社会人二年目くらいまでは、ビジネス的な自信が自分の中に全くなかった。だから、起業したい、とは思っていたけど、不安要素しかなかったし、そもそも何をするために起業するかも決まっていなかった。

そんな状態では、起業できるわけがない。

気持ちは起業に向いているけど、理性が大きくNOと言っていた。そして、そのNOは、感情的なNOではなく、理路整然と起業べきでない理由を含んだNOであった。

だから、従わざるを得なかった。

そこから副業を始めたのが大きな転換点だった。副業をして、会社を通さずに自分の力でお金をもらってサービスを提供して、満足してもらえて、結果も残して、お客様も増えた。

その時初めて、ビジネス的な自信がついた。これならいける、と確信した。もちろん、そのときも失敗する確率は十分にあったのだけど、その失敗を乗り越える自信があったから、これはもう、やるしかない、となった。

一度自信がつけば、もう迷うことはない。あれだけ悩んでいた退職も、すぐに決めたし、お金もすぐに借りた。会社の上司による脅しも無視した。

個人的にはベストタイミングで起業したと思う。

起業は、失敗確率がゼロになるまで待っていたら、一生起業できない。そもそも、失敗確率が高くても、成功するし、成功確率が高くても、失敗することはある。つまり、確率論は当てはまらない。

なぜなら、ビジネスは数字のゲームではないし、同様に確からしいことなんてほとんどないからである。相手は、人間。感情を持った人間。同様に確からしくないし、数字でできていない。

論理はあったとしても、人による。AならばBとなったり、ならなかったりする。

だから、起業が上手くいくかどうかは、誰にもわからない。起業して気づいたけど、ビジネスで成功するか、失敗するかの二者択一ではない。

小さな成功と、小さな失敗が無数に繰り返される。だから、失敗も成功も両方経験する。一発で大当たりして儲かることもなければ、一発で大打撃を受けて事業が失敗することもない。

だから、必要以上に起業を恐れる必要はない。怖がっている事態になることは、ほとんどない。まあ、やってみなきゃ分からんのだけど。

そして、起業に色々なことを期待するべきではない。起業したら出社時間は自由になり、稼ぐ額も青天井、個人の力で生きていける、人間関係のしがらみから開放され、自由に生きていける…そんなことはない。

それらは起業した瞬間に手に入らない。自力で実現するしか方法はない。むしろ、自分の行動が結果に直結するから、精神的な負荷は増える。

自分のやりたいことがあって、それを実現する方法として起業が最も適しているなら、起業した方がいい。しかし、そうではなく、会社勤めが嫌だから起業する、というのはあまりにもリスクが高い。

そんな理由で辞めて起業した人は、いったいお客様に何を売るつもりなんですか?売るものないのに起業してどうするんですか?

会社勤めか、起業か、転職か。どれも、お客様に何かを提供する手段でしかない。そこを忘れて、自分のことばかり考えて、お客様のこと、そっちのけにしていないかい?

…と、「起業しようか、仕事やめようか」と迷っていた頃の自分に言ってやりたいと、ふと思いました。

以上🖐️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?