無能な人間などいない
音楽を聴きながら書いたので
流しながらお読み頂ければ幸いです。
もともと経営学部を出て
最初に勤めたのは金融機関だが
今、俺の仕事は水道屋だ
それもただの水道屋ではない
商業施設のトラブルの解決を
専らとする緊急系の仕事
この仕事を選んだ理由は
褒められたものじゃない
当初は金融からWEB系の仕事に移り
親父の元で、WEB事業を立ち上げる
その際、その事業部の責任者にされたけど
親父の俺に期待する圧が高すぎた
当時30前の若造の俺には
営業成績はそこそこだったけど
経営のリアルはわからない
そこには人の気持ちがあるからさ
要するにうまく回らなかった
そうこうするうちにリーマンショックで
親父も色々やらかしていて
親子の中で責任は全て俺にあるみたいな
無能な息子といびられる毎日
今にして思えば親父もストレスのはけ口が
俺くらいしかなかったのだろうけど
当時は彼女も居て一緒にくらしていて
生活を思い親父に歯向かえないまま
いいなりになっていてノイローゼ
まぁそれほど激しい親父で
だけど限界がきたときに
もう逃げるように仕事をやめて
喰わせないといけないから
また職を転々としていたときに
知り合ったのが便利屋を始めたい人だった
そこからも紆余曲折はあった
何も持たない彼のために
全てをかけた俺の戦いは
報われることは無かった
会社は3ヵ月くらいで軌道に乗ったけど
緊急の仕事で、一緒に組む前にはあった
彼の運転免許は彼の飲酒運転で失効してる有様
緊急だからさ、最初3ヵ月は家に帰らず
彼の家に寝泊りしたんだよね
WEBサイトを立ち上げ広告を見て
仕事を取って、割り振って、運転をして
現場の助手もする
全てを注いだつもりだけど
また、親父とおなじようにさ
彼女との生活を脅すようなことを
平気で言われるんだよね
「首にするぞ」とかね
羽振りがよくなるにつれて
事務所にいけば、女と寝ていて
持つ人、持たざる人はいると思った
持てない人というのかな
散々脅された夜に独立したんだ
お金がなかったから
母親に(既に親父は死んでいた)お願いして
50万程貸してもらってはじまった
俺の仕事。一連の流れは幸いみていたから
自信はあったけど
それ以上に覚悟があった
駄目だったら、死のうと思ったのは
本当の話だ。
生きる事には責任がいる
そんな事を強く感じた瞬間だったな
軽はずみに男気スイッチは押しちゃだめ~
最初スーツから作業着に変る時
涙が出るほど嫌だったんだよね
なんかスマートじゃないなと思った
お客さんに身振り手振り説明して
お金を交渉して、
みすぼらしい手書きの領収書を渡す
最近、テレビであるじゃない
あこぎな水道屋の話
あれは、今にはじまったことではない
緊急の水道系の仕事なんて
ガラの悪い人達の集まりだと思う
俺も最初は、胡散臭いことを
沢山教えてもらった
最初はお金が欲しかったから
それもありかな?と思ったけど
どうも、金額をふっかける
自分が好きじゃないんだ
だからといってお金は欲しい時
不意に皆が嫌がる飲食店の排水つまり
それを積極的に行く事にしたのが始まりだ
終われば油臭い
臭いは汚物より油の方が余程酷い
けど、そんなどろどろの排水つまりなど
解決すると
家庭のトイレつまりを抜けないふりをして
なんとか3万円にする3万円より
どろどろになって何とか解決して
貰えた3万円で食う飯が旨い
ある時、千葉の緑区で家系ラーメンを
買い受けた、オーナーから排水つまっていると
それは、洋服の青山と同じ区切りにあって
でかい店舗が連なっていて
100m先にある青山の排水まで詰まらせていた
全て確認して、大事だと伝えると
お店を2年間だけ転貸借しているだけだ
だから自分の責任ではないと
だけど、青山のトイレはもう流れない
言い逃れはできないだろうと
いうと、転貸借だから転貸借だからと
訳の分からない事を繰り返すんだよね(笑)
ずっと前からやらかしていたにしても
今問題があるから
それを説明すると不意に言われたんだ
「転貸借の意味わかる?」
意味がわかってないのはお前のほうじゃね?
「俺、宅建の資格ありますよ」
え?となったんだよね
「なんでこんな仕事をしているんですか?」
急に敬語になった違和感は覚えている
「困ってにっちもさっちもいかないなか
颯爽と解決するのが好きなんですよね
いつも同じ方法で解決できないから」
その楽しさを伝えたんだ
先日も、作業するためにシンク下のホース
ぐるぐるにまかれたビニールテープを切って
外したら排水管が外れたんだ。
ノリ着けされてない(笑)
水道工事、うちは別に安くはない
けど、無理に相見積もりにされて
安くして仕事を取ろうとは思わない
そもそも緊急解決できればそれでいいし
蓋をあければ大工さんに内装を頼んだ際
大工さんが安くやるからと水道の排水管も
繋いだのだろう
そりゃ施工時は流れるから
それで良しとしたのだろう
いい加減な工事は後を絶たない
値段で決めるなら決めればいい
俺達は排水管を新設して建物の外を通すとき
外装とできるだけ同じ色のペンキを探すんだ
白なら白でいいとか簡単ではない
少しでも見栄えもいいようにね
そんな拘りはお客さんにわざわざ
恩着せがましく話すこともない
排水管も曲がりを90度の接手ではなく
45度の繋ぎを2回入れる
角度が取れない時は周りから全部やり直す
敬意というものがあるじゃない
お金をだしてくれるのだから
自分がやりやすいように手抜きはしない
少しでもその依頼主が長く安全に
暮らせることを考えて施工するんだよね
そんな想いが自然と俺達の顔を創り
プライドにもなるから
お客さんの不当な値下げ要求には
激怒することもある。
他でやったらどうですか?
最初は生活苦から
行き当たりばったりで始まった仕事だけど
時にうんこにまみれて、毎日、油臭くて
コンビニに寄れば露骨に顔をしかめられる
そんな仕事だけど
誇りに思っているんだ
思うんだ仕事が出来ない人も
能力がない人もいないと思う
ただ、自主的に動けるかどうか
それだけな気がする
同じ水道屋でもきっと
不当に便器つまりで交渉していれば
きっと俺は楽しくなかったし
毎日いやいや仕事をしていたかな
今だって有能だとは思っていない
むしろ、経理に関しては経営学部をでたのに
全然自分とあってなかったと思う
やり直せるなら建築系の大学に行きたい
宅建の資格は一度も使うこともない
ホームページも作れば、リスティングも分かる
だけど、今、俺はうんこのたまり場に
躊躇わずに手を突っ込む
ホストの現場で
汚水が全滅して溢れてホストが皆
おえっおえっいっているんだよね
そこで颯爽と泳ぐように解決していくとき
思ったんだよね
俺って男前じゃないか(笑)
どうしても人は自分を決めつけるけど
一度全部とっぱらって
やりたいこと、やれること
人から頼まれることは
あなたには簡単なだけだったりするから
一度適性を探してみるといいかもね
働かなきゃから
働きたいに気持ちが変われば
全ての人が有能になる
だけども心の状況により
前を向けない時はどうしてもあるよね
自己肯定感が低すぎて
自分をイジメる人がいるなら
どうか忘れないでくれ
あなたは無能じゃない
主体的になれない今があるだけだ
なに、また陽は昇るのさ。
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