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組織の拡大に伴う課題:30人の壁に立ち向かう

起業して、5年。やっと軌道に乗ってきた社員数も30名を超えてきたが、組織が拡大するにつれ、最近色々と変化を感じつつある。

社員数が15名までは、創業時に共に苦労した社員も多いので、社員一人一人の事をよく知っていたし、メンバー同士も仲が良かった。

方針についても皆で議論しあった中なので、例えば意見が分かれても、議論をしなが、皆同じ方向をみて進んでいるとの実感があった。

これまでは、メンバーそれぞれの強味、専門性などもよく理解していたので、突然の新規案件などが出てきた際にも誰に任せたらよいのか、私が直接指示をしてこれまで仕事を進めてくることができた。

ただ、ここまで人数が増えてくると、社員ひとりの特性を理解して直接の指示は無理だ、、
とはいえ、みな個々に業務が立て込んでおり、社員の様子を見て指示をしたり、仕事を教えたり出来る人はそう多くないし、皆それぞれがスペシャリストなので、マネジメント力が高いメンバーはあまりいないのが現状だ。

以前は活気があった社内も、全体的な一体感が無くなってきたような気もする。人数が増えてきたから仕方がないのかもしれないが、これから事業も拡大期に入るところなので、ここで社員同士の軋轢などが起きて生産性が落ちる事はどうにかして避けたい。

よく言う「30人の壁」のケースですね。「30人の壁」とは、ちょうど組織が拡大するにつれて、起きる課題を指します。これまで苦労して会社を拡大してきたので、この問題はクリアーしてさらに会社を成長させたいですよね。

組織拡大時に問題が起きる理由


1.社長が管理できる人数を超えてしまい、管理が行き届かない


ひとりが管理できる人数の限界のことを、「スパンオブコントロール」といい、一般的には、5人〜7人と言われています。
その人数であれば、社長が採用面接もしているので、どの社員にも思い入れがあるから印象深いですよね。但し、さすがに30名前後を超えるといくら思い入れの強い社長であっても管理は難しいです。
 

2.全員が同じ方向を向いているとは限らない


人数が増えるにつれ、様々な思考、価値観の人が組織に入ってきます。
そうすると、創業時のような全員が同じ方向性を向き、熱く仕事に没頭するという人ばかりではなくなります。考えが違う人や働き方のこだわり等、
それぞれの社員が違う方向を向いてしまう可能性もあり、事業の進み方が鈍化するといった恐れが出てきます。例えば、入社して間もない人が、企業文化に馴染めず退職したり、創業時のメンバーでも方向性が変わってしまった、、と退職を申し出る等のリスクも出てきてしまいます。
 

3.バックオフィスの事務的な業務が増える


人数がある一定規模を超えると、様々なバックオフィスの業務が増えてきます。役所への届け出や産業医や安全衛生委員会の設置やオフィスの設備での要件、事務用品や名刺の手配等。
今まで第一線でビジネスを進めてきた人達が、バックオフィス業務が増えることで、本来の仕事に割く時間が減ってしまう、等の弊害がおきます。
 

4.情報がタイムリーに社員全員に伝わりにくい


ビジネスには、スピード感が重要、情勢の変化に応じて即座に方針を変えていく必要がありますが、以前は、何か起きるとすぐに全員集めてスモールミーティングを持つ、ミーティングに参加できなくても、仲間がタイムリーに情報共有してくれる、ということが当たり前でした。

但し、人数が多くなると、誰に情報が伝わっているのか、意図が理解できているのか、など誰もフォローができる状況ではありません。そのため、ビジネス上必要な方針変換の情報が必要な社員に伝わっておらず、本意ではない対応をすることで大きなビジネスチャンスを失った、、なんていうリスクもあります。

組織拡大時に経営者がすべきこと

1.    バックオフィス機能を作り、専任者を説地する


30人過ぎると、色々と事務的な役所への手続き関係など様々な事業サポート業務の必要性が出てきます。固定費を心配される経営者も多いかと思いますが、今は事務手続きをソフトなどで金額が安く効率化できるツールも増えていますので、多くの人数を割く必要はありません。

バックオフィス業務に詳しい専任者を置き、他の社員がビジネスに専念できる環境を作ることを強くおススメします。

2.    会社の方向性を共有する機会を定期的に作る


社員数が多くなると、会社の方針や方向性を社員全体に浸透させるには、ある程度時間をかける必要があります。方針が伝わらず、退職者が出ることを防いだり、社員の士気を上げるためにも、現会社の状況や今後の方針、将来目指すべき姿等を定期的に共有する機会を社長自らが持つことが必要です。
社長が出て話をするのとそうでないのとでは、社員のモチベーションが違います。
社長自らが社員の前にたって社員に語り掛ける、ことが非常に大切です。

3.    管理の役割を設置する


大手企業であれば、当然に管理職はいますが、スタートアップの会社においては、社長以下の組織は、フラットなケースが多いですね。前にも述べましたが、社長が管理できる社員数はせいぜい10名程度、そのため、30名を超えてくる場合は、社長と社員の間に管理職を置き、方針の浸透、業務の進捗を確認する、新入社員を指導する役割を担ってもらう必要が出てきます。

そうすることにより、社長からの伝わり切れていないメッセージの伝達を管理職が補足する、管理職が部下とのコミュニケーションを密にとることにより、方向性の確認や社員のメンタル、仕事両面からサポートすることで各社員が力を発揮できる環境を作り、社員全体の生産性が上がることに繋げていくことが出来ます。

管理職に相応しい人物がいない場合は、外から採用する、中でも比較的管理職の要素を持つ社員を管理職として育成する必要があります。

4.会社を組織化する


社員数が少ない時のようなフラット組織ですと弊害が起きます。そのため、組織化していくことをおススメします。組織にすることで、組織ごとに管理職を置く、バックオフィス機能を切り離すことで、各組織が自組織の業務に注力することで生産性を上げていきます。

5.    コミュニケーション活性化に敢えて取り組む


同じことを伝えても、人数が多ければ多いほど正しい情報が正しい意図で伝わりにくくなります。そのため、組織化、管理職の設置等と合わせて、コミュニケーションの活性化させる取り組みをおススメします。
忙しい毎日ですが、数ヶ月に1度社員全員である一定のテーマに基づいて意見を出し合うような、機会を持つ(「ブレーンストーミング」といいます)、また社長や管理職から社員に声をかけるようにする、また小グループで何か活動をするのでもいいかもしれません。社内のコミュニケーションを活性化する取り組みをとると活気も出てきます。

まとめ


30人の壁を超えるには、これまでの社長のマネジメントから、一歩組織化をしていく必要が出てきます。ここでマネジメントを変える、アクションを行うか否かで、将来の会社の成長度合いが変わってきますので、社員数が増えてきて変化を感じている社長は早急に取り組んでみてくださいね。

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