見出し画像

革製品を長く使えるためにとお手入れ方法について学びに行ったら泣いてしまった話

地球にやさしいせいかつ目指して、自分のペースで移行する日々。

今日は、革製品のメンテナンスについてのワークショップを昨年の夏受けに行ったときのことと、その後冬にもう一度お話を伺った時の事をまとめます。結構ごちゃまぜです…

最初夏に知人の紹介で伺ったのは、鹿児島のレザーブランド「RHYTHMOS(リュトモス)」さんによるお話しと、革製品のメンテナンス方法について教えてくださるセミナー兼ワークショップ。知人から「家に革製品ある?持ってきて!話聞きに来て!」と言われて、行ってみたのでした。

私は大学時代から使っていてもうすぐ10年になるパスケースが唯一の革製品だったので、持っていきました。

革製品も、もとは命

自分が持っていったのはこちらの大学時代から使っているフェラガモのパスケース。周りが裂けてきているので自分でなぜか赤い糸で編んで使い続けています。笑

画像1

ワークショップの会場が桜島が見えるとても景色が綺麗なところだったので一緒に撮りました。笑

画像2

こちらの写真の左の方が、今回の講師の「RHYTHMOS(リュトモス)」さん。右側が私の知り合いで今回ワークショップに呼んでくださった方です。

こんなかんじで、ワークショップの前に、まずお話しを伺います。うまく言語化ができないのですが…

まず、「革製品」は、そもそも私たちが食べるお肉、食肉産業の副産物であるということ。食肉であるその生き物の命の一部を素材として形に残せるのが「革」であるということ。つまり食肉がなければ成り立たない業界でもあるということ。むしろ、無駄なくいただいた命を使い切ろうとして生まれたものなんですよね。革製品を作るために動物を狩ることはNGなのだそうです。あくまで、食用のお肉の副産物。

そして、「食肉」そのものは悪くないんですよね。結局人間が作りだした、たくさん育てよう、たくさん食べよう、として創り出した仕組み。地球上の生き物の91%が人間と家畜と言われる今。そして人間よりも家畜の方が数が多いという状況。その「人的災害」が色々な悪循環を生みだしていると。

リュトモスさんも、そうした状況について感じたことをシェアしてくださいました。それこそ、「肉を食べるな」「ビーガンになろう」といったメッセージ性の強いドキュメンタリーも観賞したそうです。そう、私も見て、一時期本気でビーガンになろうと考えた作品たちです。

こうした色々な意見がある中で、リュトモスさんが考えたのは、制約したり、正しい正しくないと白黒つけるのではなく、「地球人と共存してどう生きていくか」だったそう。

私たちが良い革製品として手に取っている物。よく見ると、傷やシワなどは全然みあたりません。しかし、普通に育っている家畜たちであれば、地面で寝転んだり、柵に当たったりして傷ができているはず。そうした傷を隠すために、沢山の化学薬品を使ったり。それって、本当に副産物として生きてくれている動物の「命」をリスペクトしているのだろうか…?

画像3

実際に持ってきてくださった革で、「ここにシワがあって」「ここに傷があって」…と見せてくださいました。ここで私は一気に、目の前の自分が持ってきたパスケース、周りの人たちが持ってきた革製品たちが、全部、動物の、命の一部であった、と「認識」します。

革製品の素材としてよく選ばれる牛。寿命は大体大型犬と同じ18-20歳で、食用になるのは1歳半前後なのだそう(ちなみに子牛は生後半年までの牛の事を言うそう)。人間の営みで生まれて2歳で終える命。その2年で終わる命を長く使えるよう、食肉という目的だけでなく、別の形で「生き続けられる」よう、命を奪う責任として、革製品を作りたい、それをリュトモスさんは自身の「正解」として選ぶことにしたようです。(私の理解なので正しい想いについてはぜひリュトモスさんが発信されているラジオなどを…)

ある家具職人が、「木の寿命くらいしっかりもつ家具を作りたい」と話しているのを聞いて、革製品もちゃんと作ってちゃんとメンテナンスすれば、牛の寿命以上、むしろ人間の寿命以上、質がもてるものなので、大切に作り、そして正しいメンテナンスの方法を伝えていきたい、と考えているそう。だから今回のお手入れワークショップなのか…!

ちなみにリュトモスさんは大きなものや形作りが難しいものは端材が出やすいことから、いただく命を可能な限り使い切れるよう、小物に特化してるのだそうです。なので、靴や鞄は作らないのだとか。なるほど…!

ちなみに、調べてみたのが、「レスポンシブルレザー」ということで、以下リンク先のように、大手だとマルベリーは「動物福祉、トレーサビリティ、そして環境管理における最善の慣行」に取り組んでいくといったこともしているよう。

簡単にではありますが「アニマルライツ(animal rights)」と「アニマルウェルフェア(animal welfare)」の違いも冬のお話しを聞く会で教えていただきました。「アニマルライツ(animal rights)」は「家畜といえど動物の生命!」という目線から、お肉を食べなかったりとか行動をする考え方。「アニマルウェルフェア(animal welfare)」は 家畜として適したタイミングで食肉にしよう、など、いただく命を尊厳をもって向き合う考え方。どちらも正解不正解はないというか、人によって考え方は違うしなあ、と思う自分。リュトモスさんは、後者に近い考え方なのかな。

ちなみに、フェアトレード認証がチョコレートやコーヒーにあるように、日本にも「エコレザー基準」という認証の仕組みはあるそうで、実際日本のタンナーさん(生き物の「皮」から素材の「革」に仕上げる人たち)はほぼこちらの認証をクリアしているそう。むしろ、ヨーロッパの次に基準値が高いくらい。しかし、タンナーは皮→革に仕上げる工程のことをさすので、じゃあ、仕入先のメーカーさんはそうした認証などに対しての意識をしているか?となると怪しいところも多いそう。

国産の革を選んだらベターなのか?という質問もあったのですが、リュトモスさん曰く、なかなか和牛さん難しい、と。例えば霜降り肉は脂肪がたくさんある=成人病で、白身と赤身(筋肉)が混じっている状態なので革製品として持ちもいまいちだとか…。ちなみに和牛は国内自給率が30%行かずだそうで(豚は90%)、「国産レザー」、つまり、日本でなめされた革(製品として使えるように加工する工程がされた革)は、仕入先は北米であることが多いそうです。

こうした話を聞いていると、牛さんたちの命を奪ってから、皮を革という素材に変え、加工し、販売するまでの道が、なんというか、とても長くて、そこに沢山の人たちが国境を越えて関わっていて、どこまで認証制度含めよりアニマルウェルフェアを考慮した形にしていくかとか、難しさを感じます。日本の化粧品や食材に対しての「オーガニック」の基準が他国よりも緩い?と言われていてうーん、といったことと同じようなことが起きてそうだな…抜け道が色々ありそう。安く仕入れられる国から取り寄せた化学薬品をたくさん使ってなめされた革を、加工して国内で「国産レザーです」といって販売しているところがあったりするのかもしれないと思うともやもや…


そして、メンテナンス方法を。

命、尊い…!という気持ちが高まったタイミングで、メンテナンス方法を。

誤った方法を伝えてしまいそうなので、是非調べていただいたり、実際にお店に行ってお話しを聞いていただきたいのですが、私がメモしたものをご紹介しますと、リュトモスさん曰く、「革のケアは肌のケアと同じ」とのこと。「汚れを落として保湿をする」とう流れになるのだそうです。人間でいう洗顔後→化粧水で保湿→乳液で蓋をするという流れが、汚れを落とした後のオイル→クリーム→ワックス、という流れになります。もちろんではありますが、液体であればあるほど保湿力アップ。適度な油分のある状態にすることで長持ちします。そして私たちが寝る前にケアをしてその後にお肌のゴールデンタイムに寝るように、革製品も一晩寝かせて休ませるのだそうです。「いきなりオイル塗るとか、化粧した顔に保湿しているようなものですよ」わかりやすい…!

画像5

特にお財布や私の持ってきたパスケースは、手の皮脂からの埃がついていることも。ということで、最初の「洗顔」である汚れを落とす作業では、綿等の布巾を少し濡らして、こするというよりはタッピングするようにして拭いていきます。これで布が黒くなるんだわ。びっくりでした。こんなに汚れてたか…いや、そうか…そうだよな…

画像6

その後はしっかり乾かしてから、オイルを塗っていきます。そしてこのオイルが今回のワークショップ参加特典としていただけるものという、感動…!

画像7

実はここでお手入れワークショップ、自分は予定があって途中退出をしてしまいます。続きは後日お店に直接行って受けることになるのですが…

画像7

「保湿」がされたパスケース…!

画像8

10年近く使っているものなので、傷などががっつりついている物の、少し光沢感が出てきたようにみえます。汚れも落としたので綺麗だし…


この時、お店に実際に伺って、革製品の香りに包まれたとき、「もしかしたらよく嗅ぐ「革製品!」と思う香りは、化学薬品をたくさんつけて加工された革製品かもしれない」と思い、少しドキッとしました。

そして、お店に来て、感動しました。

画像9

動物たちの命を尊敬しているリュトモスさんが作られる小物たち。

画像10

無駄なく使いきれるよう作られた小物、コインケースやケーブルを束ねるもの

画像11

お財布やシンプルな作りのバッグ

画像12

画像13

植木鉢やランプを包む革

画像14

左上の額縁の中のものは、様々な革をつなげたパッチワークのようなものでした。


レザーブランドとしてできることを体現しているお店。沢山の命への想いがあふれているお店。一言でまとめるのが下手ですが、とにかくリュトモスさんのファンになりました。

そして、目の前のお手入れをしたばかりのパスケース。たとえこれが化学薬品を使って綺麗に見せている物だとしても、どこかでかつて生きていた命の一部であったことは間違いないわけで、これをいかに大切に使っていくかが、これを使うと選び手に取った私の責任であるなと感じたのでした。

何度も目頭まで涙があふれてきました。こんなに言葉に表せられない気持ちでいっぱいにあるのは久しぶりでした。

家にある革製品は靴とパスケースの2つだけでした。それ以外はメルカリなどで使ってくださる方に譲り、自分の元からは手放していたのでした。大切にしていく。


ぜひリュトモスさんを知ってください←

全然言語化が上手くいかなかった今回のnoteなのですが、とにかく感覚的に感動というか、色々な感情を抱かせてくださったリュトモスさんのお話。リュトモスさんご自身もいろいろと発信していらっしゃるし、とてもわかりやすくお話ししてくださるので、是非、「知る」ためにも鹿児島のお店まで伺うOR以下Instagramも載せるのでフォローを!



感謝の気持ちであふれる機会をいただきました。本当に感謝です。


後に、お財布が壊れてしまうので、リュトモスさんのお財布をデビューするのですが、それはまた後日noteにまとめます。


これからも少しずつ、一歩ずつ進んでいきます。


こんな私ですが、ぜひサポートお願いします。 いただいたサポートは、自分に沢山の学びと気付きの機会を与えてくれた人や団体、そして社会に還元していきたいです。