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【meepa成長記録】第3話:偶然を味方につけるべし

運を味方につける。こういうとなんかスピリチュアル系の人だと勘違いされてしまいそうですが、今回はそんなお話しです(ちなみに、僕は全然そっち系の人ではありません。占いとか無関心なタイプです)。

起業家の自伝を読むと結構な確率で一か八かの勝負に勝った的なエピソードが出てきますし、最近ハマってる『コテンラジオ 』を聞いていても、「歴史に名を残す人って能力や努力だけじゃなく、時代や当時の環境といった自分ではコントロールできない要因を味方につけてる人だよなぁ」って思ったりします。

meepaではまだ全然大勝負の局面は迎えていないのですが、それでもささやかながら「なんかツイてるなー」と感じる場面はちょこちょこあります。そして同時に、「こういうツキみたいなものを立て続けに逃してしまうと事業自体がうまく行かなくなるんだろうな」という予感があります。

VUCAと言われるような時代背景的にも、新規事業が元々持つ性質的にも、新規事業を事前計画的に成功させることは至難の技で、ある程度は創発的にならざるを得ません。この「創発」というのを実現する上では、運/偶然を味方につけるということが必要だと思うのです。

ということで、今回は(ささやかな)実体験も踏まえつつ、運とか偶然と呼ばれるものについて真面目に考えてみたいと思います。

meepaというEdTech系新規事業からの学びを言語化し外部発信していく『meepa成長記録』の第3話です。背景がよくわからんと言う方は、バックナンバーからどうぞ!(以下は前回のリンクです)

運/偶然を科学する

冒頭でも言及しましたが、運や偶然を真剣に語り始めるとスピリチュアル系にハマっちゃったのかと勘違いされそうですが、幸運や偶然を科学している研究者って案外結構います。

例えば、心理学者のリチャード・ワイズマンは幸運な人の法則として以下の4つをあげています;
・偶然のチャンスを最大限活かそうとする
・直感力に優れ、直感力を促進する訓練を積んでいる
・幸運を信じ、自己実現のための努力をしている
・行き詰まると素早く方向転換して、不運を幸運に変換しようとする

あるいは、『計画的偶発性理論』(Planned Happenstance Theory)という「キャリアの8割は偶然の出来事によって形成されるから偶然の機会を上手く引き寄せ、上手く活用しよう」という主旨の有名なキャリア論があるのですが、その中でも偶然を味方につけてよいキャリアを創発的に築いていくためには、「好奇心」「持続心」「柔軟性」「楽観性」「冒険心」の5つの行動指針が重要だとされています。

これらを創発的な新規事業づくりという文脈に沿って自分なりに言語化し直してみると;

・アンテナの感度を高くしてヒントを探し続ける
・論理的に上手く説明ができずとも、ピンときたら取り込んでみる
・ダメだったら潔く捨てる
・いつか上手くいくと信じて続ける

こんな感じかなと思います。

曖昧模糊としてつかみどころのない「運」や「偶然」の話をしていたはずなのに、こう整理してみると、偶然を招き入れるのも自分の言動やマインドのなせる技なんじゃないかと思えてきますよね。

少し脱線しますが、近年注目されている起業セオリーの一つ『エフェクチュエーション理論』も、運/偶然を味方につけるフレームワークだと最近の僕は解釈しています(初耳の方はこの辺をご覧ください)。限られたリソースの中で起業/新規事業を成功させるための行動指針として非常に優れていて、ないものだらけの新米起業家を勇気付けてくれるような内容で、僕自身もmeepaを始めてから何度も読み返しています(長くなるので今回は詳述を避けますが、いつかエフェクチュエーション理論についても書いてみたいと思っています)。

今回は理論的な部分から入ってみましたが、ここからはmeepaでの実体験にも触れていこうと思います。といってもまだまだ駆け出しの身で、そんな大それたエピソードはないのですが...まずはインタビューを具体例としてとりあげます。

具体例①:インタビューで数をこなす大切さ

先日実施したβテストでは約3ヶ月間で約100名のユーザーに実験に参加してもらって、うち30人程度にインタビューをさせてもらいました。meepaの検討開始から数えると延べで100人は優に超えています(ご協力頂いている皆さんには感謝しかありません。いつも本当にありがとうございます🙇‍♂️)。

僕は比較的、現状維持バイアスや確証バイアスが強いタイプの人間です。少なくとも自分ではそう認識しています。本来であればニュートラルな心・認知を持って、一つ一つのインタビューの何気ない一言の真意を掴んで示唆を得て...というのがインタビューの理想だとは思うのですが、その瞬間瞬間で様々なバイアスに囚われているので、現実には中々難しい。

ただ、同じ問題意識を持って数多くのインタビューをこなしていると、たまに、自分の行動や感情を言語化する能力が非常に高い、とても説明上手なインタビュイーが現れます。そういった方の話を聞くとそれまでに聞いた他の人の話(や自分自身の日常の子どもに対する言動)がすっと繋がって、急に「わかった」感覚に陥ります。そういう瞬間に出会うため、つまり説明能力が高い人に巡り合うため×繋がる材料を揃えるために、インタビューは数をこなしておくことが大事だと最近では強く思います。ちなみに僕の場合は一つの問題意識・仮説に対して最低でも5人、できれば10人くらいと話せるとこの感覚を得やすいと感じています。

何気ない・とても些細な例ですが、これも前章の整理に照らし合わせると運/偶然を味方につける一つの例だと思うのです。

具体例②:インターンのピュアさの産物

meepaには「海の素晴らしさを子どもに伝えたい」という志を持つインターンがいました。多動力に溢れる彼は、学生団体で海の素晴らしさを子どもたちに伝える活動をする傍ら、保育園やフードデリバリーのアルバイト、釣り・ピアノ・バンド活動を並行してやっていました。そこに新たに「セラピストになりたい」という目標が加わり、残念ながらmeepaは卒業する運びになってしまったのですが、自分の好きに忠実に生きる、まさにmeepaのビジョンを体現する稀有な人物でした。

ある時、そんな彼が所属する学生団体の活動で、家族向けの釣りイベントをするとのことだったので、meepaコラムのネタを増やす良い機会だという何気ない(姑息な?)考えのもと、「meepaコラムにイベント告知用の記事を書いてよ」とオファーしてみました。

独力で書いてもらったのですが、仕上がった原稿を見て「内容は面白いけど、イベントの集客は難しいだろうな」と直感しました。なぜなら、開催日も示されておらず、申込先・問い合わせ先が個人のメアド・LINEだったから。これじゃあ不安で誰も申し込めないだろうなと。

ところが、蓋を開けてびっくり。すぐに申込の連絡が入り始め、難なく定員に到達。本人は爽やかに「meepaコラムのポテンシャルを見せつけられました!」と言ってましたが、こちらは努めてにこやかに応じていたものの、「これほど魂を込めて作ったmeepaが苦戦しているのに、こんなカジュアルな記事で...」と、正直内心ざわついてました。

ただ気を取り直して少し考えてみると、ここに何らかのヒントが隠れている気がしてきます。ということでその後、この事象について本人を含む複数人と議論して、いくつかのポイントを見出すに至りました(今の段階であまりはっきりとは書けないのですが、その時のメモからキーワードだけ抜粋しておきます;ストーリーテリング / 共感 / 商売っけのなさ / ピュア / 学生 / 1回限り / 集団 / レジャー...etc)。

結局この時の学びが決め手の一つとなって、meepaはいま新しい可能性を模索しています。正しい仮説かどうかは現時点ではわからないものの、こうした発見を重ねて思わぬ姿に変身していくことが創発的に新規事業を作る上では大事なのかなと思わされました。そういった意味でも、この件も運/偶然を味方につけた一つの事例なのかなと。

今後の予定

例は非常にささやかなものでしたが、ここまで読んでもらった方には、運/偶然を味方につけることの大事さやその方法をある程度伝えることができたんじゃないかと思います。

次回以降も、読んでくれる人にとって何らかの示唆が出せればと思って頑張って書きますので、ぜひお楽しみに!

いつかどでかいおもしろエピソードができるように、引き続き前述の行動指針に従って動き続けます。

次回以降の予定
第4話:実験は計画的に
第5話:副業人材中心のチームで成功を目指す


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