「寒くなってきましたね」
『、、、いつ、の話ですか?』
「あぁ、すみません。何となく」
『そうですよね。もうとっくに、冬の渦中です』
「冬って、いつから、ですかね?」
『うーん、そうですね。12月とか?』
「やっぱり、そうですよね。11月はまだ、秋ですよね」
『秋も難しいですよ。9月も暑いし、11月は身体が寒さに驚いて、もしかしたら、慣れてきた2月より寒い感覚があります』
「それ、分かります。夏から秋は涼しくなってきたな、とボンヤリ身体も喜んでいますが、急にドーン、と寒さが攻撃してくる感じ。慌てて、セーターやダウンジャケットやらを引っ張り出して。あと、暖房器具とか」
『分かる。そうなんだよね。急に、ってところが肝』
「ヒトは急な変化に弱い。”徐々に”が得意で、ゆっくりと変わっていくと、それに気づかずに慣れていく。それを活かせば、結構、危ないコトも平気で受け入れる。慣れが一番、強い」
『それはそうなんだけど、日本人は急な変化に驚くし、不満も言うけど、順応性は高いよね。ネガティヴな気持ちがあっても、目の前の現実に合わせて、やり過ごす。欧米人とか、南国のヒト達には、ない性質なんじゃないかな、とか言っちゃって』
「そういうところも、あるかも。法律と制度みたいな、決まり事があると、その目的を忘れて、頑張っちゃう、とか。いや、すこし違うかな。目的を忘れて、というより、目的自体を始めから気にしてない感じかも」
『目的より手段を優先するのかな?』
「どうなんだろ。少なくとも、目的は重視してないように映る時が多い。
他人のコトは言えないけど、私も」
『まぁね。私たちも日本人だし、四季折々が大好きだし。和食が身に沁みるし』
「そうね。温泉に惹かれるのは、想い出なんかじゃなくて、雰囲気でしょ?」
『温泉でゆっくり。日常を忘れて、ボォーとする幸せ、というイメージね』
「浴衣も、効果があるわね」
『衣装だから、温泉の。家では着ないし、私は持ってないわよ』
「そうなの?
私は何着か持ってる。殆ど着てないけど」
『じゃあさ、今度、夏になったら、浴衣パーティーとか、やりましょ。その時は、貸してね』
「ステキ。夏が待ち遠しくなってきたわ。それまで、生きてられるかしら、私」
『、、、急に、現実的ね』
「それが現実でしょ。私たちが生きてるコトの方が、奇跡みたいなモノなんだから」
『たしかに。一年を一生に喩えたら、私たちは今、どの辺りかしら?』
「冬、でしょうね」
『それは、間違いないわ』
「だいぶ前に、寒さに慣れてしまった気がするわ」
『年を越せるかしら?』
「そうね。生まれ変わり、というやつね」
『じゃ、来世で』
「来世で」
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