生活が匂う車内の湿度。 映画 『ベイビー・ブローカー』 感想

『ベイビー・ブローカー』を観た。
本当は『リコリス・ピザ』を観に行こうと思ってた日、ちょうどいい時間にリコリス・ピザの上映がなかったので代わりに。（なんて消極的な理由…）

しかし、終わった後の満足感は相当でした。
目的をともにする人たちが一緒に生活し、じわじわと関係性が築かれていくというのが大好きなんです私。
IUちゃんの警戒心が徐々に解けていくところとかたまらんかったです。

そして大好きだったのがぺ・ドゥナ、イ・ジュヨンの警察コンビ。
車で尾行すること数日、シャワーも浴びられずという描写があったんですが、自分の靴下を匂って「くっせ！」とリアクションするイ・ジュヨンが最高でした。

車内で何日も生活していたら足も蒸れるし肌もテカる。頭皮も匂う。自然の摂理を表現してくれてなんか救われました。女だって匂うんや。なにがおかしいんや。

車内ぜったいモワッッとしてるんだろうな〜と、映像からその湿度が想像できるのがすごいですね。韓国とかアジア映画は映像から湿気が感じられるのが好き。

ぺ・ドゥナの肌の質感がすっぴんに近くてこれまた最高でございました。
適度な乾燥感とくすみがあって、ああ仕事に奔走しているときってこうなるよな〜と。化粧直している暇なんてないし。

現実的に考えると24時間ずっと化粧ばっちりなわけがないし、朝晩髪ボサボサだし、ムダ毛だって生えるし、なんかよくわからないシミとかあざとかもある。それが人間、ありのまま映してほしいと思ってます。まさにそれをやってくれてました。ありがとう是枝監督。