理学療法士の将来について

「日本は高齢社会だから、将来は安定だね」

これは理学療法士を目指し始めた頃によく聞いた言葉です。

たしかに、日本は世界に先駆けて高齢社会へと突入し、高齢化率は世界で最も高く、今後も変わらないと予測されます。

しかしながら、「高齢者が増えるから、それに関わるリハビリテーション職が安泰」というのは、はっきり言って間違っています。


最初に誤解のないように言っておきますが、私は理学療法士という仕事を天職と考えていますし、最高の仕事だと思っています。

しかしながら、今後、「リハビリテーション職なら将来安泰だね♪」と考えた方が、高い学費を払ったのちに絶望的な将来に遭遇することは避けたいと考えています。



理学療法士の将来が安泰でない理由を端的に言うと、

『高齢者の増加率よりも、理学療法士の増加率の方が多い』

ということです。


令和2年の理学療法士の合格者数は約1万人。


現在の理学療法士(協会に会員登録している数)は約12万人。

平成4年(約30年前)の会員数は初めて1万人を超えています。

また、当時の年間の合格者数も千人程度です。


30年前に1万人の会員数で年間の増加数が千人だったものが、今では12万人の会員数と年間1万人以上の新規理学療法士が誕生しています。

さらに、上記理学療法士の年齢分布から見てもわかるように、50代以上の理学療法士(会員登録者)は非常に少ないです。

ということは、「定年で引退する理学療法士も少ない」ということが言えます。


実際、リハビリテーション職の待遇は年々悪化しています。

20年前の教員や部長クラスであれば1000万プレーヤーもいましたが、令和の理学療法士の年収は新卒で300万台。

10年目でも400万台でしょう。

教員や部長クラスで500~600万くらいでしょうか。

同じ職場で20年働いたとしても、役職手当が無ければ500万は望めません。

10年後の理学療法士の待遇は夜勤ありの介護士よりも下がると予測しています。

これらの原因は色々な意見もあるとは思いますが、現実的に理学療法士(と他のリハビリテーション職)を取り巻く将来の環境です。



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