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嵐を失って健康を取り戻した話①

私は筋金入りのジャニヲタだ。
始まりは4歳で出会った光GENJIである。
その出会いは鮮烈で、不惑に突入した今も、サマーランドは聖地だし、Gジャンを見ると「見かけよりワルじゃない」などと思ったりする。剣のプレゼントで本人が自宅に届けに来てくれる企画など、その瞬間まで「かーくんがうちに来てくれたらどうしよう…!」とメルヘン思考を爆発させていた。
彼らのすべてがキラキラでまぶしくて、私の幼稚園時代の日々は光GENJIとともにあったといっても過言ではない。

そんな私が最も長い時をともに過ごしてきたのが、嵐だ。今さら説明するまでもないが、嵐は1999年11月3日にデビューした5人組で、嵐の末ズ(二宮さんと松本さん)と私は同い年であり、彼らがジャニーズ事務所に入所した頃から同じ時を過ごしている。(こちらの一方的な感情であることを念のため付記しておく)

嵐とともに青春を過ごし、嵐とともに社会人としての悩みを抱え、そして大人になった。喜びも悲しみも悩みも、すべてに寄り添ってくれたのが嵐であり、彼らの楽曲だった。嵐を通じてたくさんの友人を得、ときに地方会場のライブに参戦するため遠征をし、かけがえのない思い出を積み重ねた。

プライベートでは新卒で入社して10年、大手企業でそこそこのポジションについており、子育てと仕事にまい進する日々の中で、「この会社で一生過ごしていくのだろうか?」という疑問がもたげ始めたころでもあった。

そして、あの日を迎えた。

2019年1月27日。
嵐、2020年12月31日をもって活動休止―――

そのとき嵐は20周年を祝うライブツアーの最中だった。
私は2018年12月9日の東京ドーム公演に参加。
いつも通りの嵐がそこにいて、私たちはありったけの喜びをもってお祝いをし、これからもそこに嵐は当たり前のように存在するのだと、1ミリも疑いもしなかった。

だってそうだ。
前年のアルバムツアー「untitled」では20年のこれまでとこれからを組曲として構成した「Song for you」で、

新しいNovelの 真っ白なページに
どんな希望を どんな自由を
僕らは書き記してゆくのだろう

嵐「Song for you」

と歌い上げている。
さらにだ。ライブ演出を手がける松本さんは、この曲の後に「『未完』」という表題曲を持ってきて、これが本編ラストになるセットリストを組んできた。
こんな攻めの姿勢だった嵐が、なんで、どうして。
夕方のニュース速報で一報に触れた際の私自身の率直な感想はこれだった。

だが、活動休止の理由や、そこに至った彼らの思考の変遷は、同世代の同時代を生きる人間として、理解できるものだった。あまりにも彼ららしくて納得してしまった。何より、デビュー時には活動に前向きでなかった大野さんが、ここまで嵐として人生を生きてきてくれたことへの感謝の気持ちが大きかったし、かくいう私も新天地を求めて転職活動に勤しんでいる時期だった。
そして彼らは、丁寧に、丁寧に、自分たちが時を一度止めるその瞬間まで、ファンの心に寄り添いながら、心の準備をする時間を与えてくれた。
コロナ禍という不測の事態によって彼らが思い描いていた活動のほとんどは叶わなかったのかもしれないが、それでも時点時点のベストエフォートで、寄り添ってくれた。

新国立競技場で行われた2020年11月3日のアラフェスは、ファンクラブ配信パートが往年のバラエティ、Dアラ、Gアラ、宿題くんを思い出させる作りになっていたり、セトリもさすがファンクラブ選曲なだけあって、パーフェクトだった。
なにより、久しぶりの嵐の国立は、配信ライブではあったけれど、抜群に楽しかった。
嵐が2か月後には活動を休止し、さらには大野さんにはこの次いつ会えるのかわからないなんて、信じがたかった。

そして迎えた2020年12月31日。
私たち嵐友だち3人は、家族に邪魔されることなく、嵐との時を過ごそうと、それぞれが自宅内で一室にこもり、システムダウンを懸念したので公式のチャットサービスは利用せず、スマホを握りしめ逐一LINEで連絡を取り合いながら、「This is 嵐」および「紅白歌合戦」を見守った。

実は私自身、「This is 嵐」が終わるまで、活動休止の実感を持てずにいた。
レギュラー番組でさよなら特番が組まれ、Mステでは「The Music Never Ends」を涙を浮かべて歌う嵐の人たちを見ていたのに、「嵐がいなくなる」ということの意味がよくわかっていなかった。
「This is 嵐」のセトリを通じて実感が深まり、「The Music Never Ends」で涙が止まらなくなり、ラストソング「Love so sweet」では嗚咽が止まらなくなった。この時初めて「ああ、来年はもう嵐がいない一年が始まるんだな」と実感を伴ったのだった。

2021年。
嵐はグループとしての時を止め、私の推しである松本潤さんはちょっとした充電期間に入り、一時的に表舞台から姿を消した。

「張り合いがない…」

私は盛大な嵐ロスに陥っており、嵐に関するすべてを見聞きする度に涙ぐんでしまう、非常に危うい人間が爆誕してた。

そんな時私を救ってくれた、まさに命の恩人が現れるのだ。

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