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【映画レビュー好き語り】シン・ウルトラマン【ネタバレ全開でいく】

(蛙・ω・)<3回目観てきた!!!

 もう1回は観に行こうと決めてましたが、Twitterに流れてきたこれ見てもうダメだった。

 同じ気持ちが解る者として、その瞬間を体験せずにいられなくなった!

 前回もめちゃくちゃ泣いたし、公開日に2回観たし、もうとにかく感動したものだけれど、3回目も超泣いた。
『シン・ウルトラマン』好きな所しかない。
 好きな所しかないので好きな所だけ書くとする。
 今回はそういう回。

□エヴァを思わせるカメラワーク最高スギな。

 映画冒頭の禍威獣が山から現れるシーン近辺。
 近隣住民が自衛隊だかに誘導され避難している辺りのカメラの画角はどうしてもエヴァを思わせる。
 小学校6年生のときにリアルタイムでエヴァを観ていた者として強く脳に刻み込まれた「カッコいい画角」を否応なしに引きずり出される。

「庵野秀明わかってんねぇ!!」

 ってなる。
 監督は樋口真嗣氏なのに。

□シーンマッチ&ミスマッチした静かなBGM

 庵野作品と言えば独特の世界感を演出する音楽。
 主にピアノを据えた静かなメロディは、

「非日常の中の日常」

 変わってしまった世界でも、人は変わらずただ生きていく。
 その変わってしまった日常を想わせる。

 エヴァンゲリオン新劇場版において多く使用された空気感の演出だと思う。
 テレビアニメ版の頃もあったけどね。

□メフィラス星人好き過ぎ問題

 全世界の人が『シン・ウルトラマン』で大ファンになったメフィラス星人。

 エヴァと

 使徒と

 ペルソナ(2版)

 を足したようなビジュアルがマジで好き。
 脚のトゲトゲめっちゃ好き。

 ビジュアルだけでなく貝木泥舟みたいな胡散臭い詐欺師感も

 地球と日本と格言好きな所も全部好き!!
 β-box持って帰った後も絶対地球に戻ってきてる。
 人類を「生物資源として管理したい」っていう目的&建前と、本当に人類とその文化と美しい星、地球のこと好きなんだろうと思う。
 そしてあわよくば他人の金で旨い飯を食べたいんだと思う。

 メフィラス山本は間違いなく本作のMVP

https://news.yahoo.co.jp/articles/35f91c114cb353f7972898b452e30ea917d88b3b

 個人的見解として、ロボアニメや特撮は「人の交わり」が描かれることで大型ロボットや怪獣や正義のヒーローたちにキャラクターの奥行きが、ストーリーの重みが増すのだと思うので、利害損得だけでなく

「何より私は、この美しい星が欲しい。私も原生人類が好きなんだよウルトラマン」

 とウルトラマンに語りかけた(かどわかした)メフィラス山本が本作に奥行きと重みを途方もなく付与したMVPだったと思う。

 メフィラス星人との戦闘シーンも非常にカッコよい。
 もうアレは「庵野秀明版ウルトラマン」で間違いない。
 あのシーンだけ戦闘BGMも今っぽいハードなロック調だしね。

「ウルトラマンを現代風にとことん格好良くしてやろう!」

 みたいな、とにかく「カッコいい」に特化させたシーン。

(蛙・ω・)<捲土重来。私の好きなシーンです。

けんど-ちょうらい【捲土重来】一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すことのたとえ。 巻き起こった土煙が再びやって来る意から。 ▽「捲土」は土煙が巻き上がることで、勢いの激しいことのたとえ。 「重来」は再びやって来ること。

goo辞典


□変身シーンがカッコ良すぎんか??

『ウルトラマンの変身シーン』という超大事なファクターを原作勢以外が解釈するとこうなるのか。
 
 というのが如実に現れたカッコ良すぎる演出。

 まず「全身銀色の人型の巨人」がよく分からん存在でカッコいい。
 異物感がすごい。『宇宙人』って感じ。

 次に「色が赤くなったウルトラマン」が地上から湧いて出るシーン。
「知ってるウルトラマンだけどアレじゃない!?」
 ってなる。
 カエルは『シン・ウルトラマン』を無知状態で観に行ったので、「誰がウルトラマンになるのか分からない」人だった。
 なので神永が「成ったんだろうな」って状態から作戦陣営を抜け出して走りながらβ-capsuleで変身した瞬間は、
「今回のウルトラマンこんな感じで変身していくのか〜」
 
と思った。
 そしてその考えはいともたやすく否定される。

『そのための右手』

 ザラブ星人に囚われていたウルトラマンが変身するシーン。
 カエルは初見時鳥肌立って涙流れた。

https://spring.walkerplus.com/gw/topics/article/1080900/

 超カッコいいと思った。
 そのために2回目のウルトラマンは地上から湧き出て、そのためにウルトラマンは右手を天に突き上げていたのだ……!!!!

 地上から出てきた右手が神永を掴んでそのまま巨人化するとか創造できる????
 カエルには到底思い付かない。
 クリエイトするってそういうことなんだよな。

「俺らしく解釈して創り出す」ってことなんだよな。

 カッコいい。かっこよすぎて泣いた。


原点にして頂点

 オタクが愛さずにはいられない、原作リスペクト、原作準拠というゴリゴリの力技。

 落語で言うなら『真打ち』
 歌舞伎なら『花形』
 エヴァなら『シンクロ率400%』

「待ってました!!!!(大号泣)」

『天体制圧用最終兵器Zん』に最期の戦いを挑むウルトラマン。
 クライマックスで誰もが知っている変身シーンを満を持して入れる。
 泣かないわけがなかった……。
  
 泣かなかった奴いねえよなぁ!!?


□ウルトラマンとゾーフィの対話エモエモまる

「彼(神永)は他者のために自らの命を使う興味深い生命体だ。私は彼を理解したい」

 と語ったリピア。
 それに対しゾーフィは、

「ウルトラマン、自分を犠牲にする行為に至るまできみは彼のことを理解した。彼も君のことを理解している」

 と返した。
 自らの命を犠牲にしてゼットンを倒したリピア。  
 このウルトラマンとゾーフィの会話に至るまでがエモい。エモエモまる。泣ける。
 
 
■神永と融合した直後、ウルトラマンは禍特隊に配属されたばかりの浅見から
「世の中は個人だけで構成されていない。あなたのコーヒーも、着ている服も見知らぬ誰かのおかげなの。人は社会性の動物なのよ」
 と言われ、人間のことを理解しようと本を読み漁るウルトラマンは
「そうか。それが群れか」
 と返す。

■メフィラス星人と二人で酒を飲むシーン
 人類と密約を交わし人類を管理下におくことにほぼ成功していたメフィラス星人から
「この美しい星が欲しい。私も原生人類が好きなんだよウルトラマン」
 と言われる。
「私はこの弱くて群れるこの小さな人類を守っていきたい」
 自らの意思を示すウルトラマン。しかし
「それは君ではなく、君の中にいる人間の心ではないのか?」
 メフィラス星人に人間のことを理解しようと努めてきたことを否定(揶揄)され、酒を一口飲んだ後コップを強くテーブルに置き「怒り」を露わにする。
 その姿を見たメフィラス星人。
「私"も"人類が好きなんだよ」と語るほど地球と人類と、そして人類の文化を理解したこの他外星人は
「物別れとは実に残念な結果だ」
 と交渉の決裂を残念がる姿を見せる。

 このシーンはメフィラス星人の地球侵略の戦略を説明すると共に、二人の他外星人がそれぞれに人間を理解している(理解しようとしている)姿が描かれている。
 
 この後、二人は戦闘の直前にも
「メフィラス、β-systemを持ってさっさとこの星から立ち去れ」
「慎んでお断りする」
 と会話しているので、ウルトラマンがメフィラス星人を「嫌いになってる」ことが見て取れて面白い。これも人間の感情を理解した結果か。

 
■1度目のゼットンとの対峙の前のシーン
 ウルトラマンは滝にβ-systemの基礎原理に関するデータを残す。
 この時、その姿を船縁が見ているが、ウルトラマンは船縁に対し微笑む。
 これまで、表情でさえ人間味を出さなかったウルトラマンが初めて笑うシーン。
 
 この後、「無知な僕らが何をしたって無駄、無駄、無駄ですよ!」と自暴自棄に陥っていた滝に対し船縁は「神永さんはそう思っていないみたいよ」と優しく諭す。
 
 恐らく船縁が禍特隊の中でもっともウルトラマンの内面のことを理解している(船縁は汎用生物学者)と思うが、船縁が諦めずゼットン対策を調べていたのは神永の微笑みを見ていた(ウルトラマンを滝より先に信じた)からだと思われる。
「ウルトラマンが笑うなら、きっと可能性はあるハズ」と淡い希望を持った可能性。

■ゾーフィとの最後の対話

「生き延びたいと願う君の信号がなければ君をみつけることはできなかった。死への覚悟と生への渇望が同時に存在する人の心か。確かに人間は面白い。滅ぼすには惜しい存在だ」
 
 人間への理解と敬意を示すゾーフィ。

「私はこの星の生命体と一体となり彼や彼らを理解しようと試みた。だが何も分からないのが人間だと思うようになった。だからこそ私は人間となり人間をもっと知りたいと願う」
(中略)
「人間になることは死を受け入れることだ。人間の命は非常に短い。彼(神永)には生き続けてほしい。それを願う相棒や仲間もいる」

 もっと人のことを知りたいと願うリピア。
 そしてそれよりも神永の命を優先させたいと望む姿に

「ウルトラマン、そんなに人間が好きになったのか。分かった。君の願いを叶えよう」

 ゾーフィは応える。


 目を覚ました神永を覗く禍特隊の4人。

田村班長「神永……!」
船縁「神永さん」
滝「神永さん」
浅見「(涙を飲む)……お帰りなさい」


米津玄師「遙か 空の星が ひどく輝いて見えたから 僕は震えながら その光を追いかけた
割れた鏡の中 いつかの自分を見つめてた
強くなりたかった 何もかもに 憧れてた」


視聴者「ヴッッ!!!!!!!!!!!!」

 
 エモエモまる……。
 
 こんなん泣くじゃんか。

「痛みを知る ただ一人であれ」

 とか。泣くじゃんか。


 って感じで、『シン・ウルトラマン』の好きな所だけを語ってみた。
 細々したのはもっとあるけど、とにかくインパクトの強いエモエモが多い作品だと思う。
 
 庵野脚本恐ろしい。

 あと、庵野モーションアクトは『ザラブ星人扮するウルトラマンがビルを蹴るシーン』だと思う。
 絶妙に動きがダサいから多分そう。
 
 
 このnote書いてたらまたシアターで観たくなってきたなぁ。

 あなたももう一度観に行きませんか?

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