見出し画像

【世界の料理】プロフの缶詰

プロフといったら最近はプロフィールのことらしいが、くだらない。
最近はなんでも言葉を縮めるのが普通になってきて、実に嘆かわしい。
三文字とか四文字にした略語ほど情けない響きはないのであって、クリームチーズをクリチとか、松平健をマツケンとか実に軽薄で感心できない。
というわけでプロフ(Плов)といったらこいつに決まってる。

ウズベキスタンやその周辺いわゆる中央アジアでよく食べられている米料理で、なんとかスタンというような国では大体出てくると思うのだが、昔新疆ウイグルを旅行した時に街のあちこちで大鍋に盛り上げて売っているのをよく見かけたもので、そういえば新疆ウイグルは元は東トルキスタンといったので、やっぱりなんとかスタンの一部だ。
香辛料がよく効いた炊き込みご飯というかピラフで、ピラフの語源になった料理、ロシア語ではずばりピラフをプロフという。

実は先日ビクトリアショップというロシア食品店からネットで色々買い物をしたのだけれど、気の毒に昨今の情勢のせいかどうかわからんが閉店してしまうので閉店セールでこのプロフの缶詰がすごい値引きで売られていた。
大統領が妙な戦争なんかやるもんだから流通や貿易にダイレクトに障害が出て商売が続けられないのかもしれない、全く気の毒なものだ。
それで今ウズベキスタン製のプロフ缶があるのだが、本日の朝飯で食べてみた次第。

さて缶詰の米を食べるのはかなり前に自衛隊の赤飯缶をもらった時以来で、まずは湯を沸かして缶ごと湯煎にかけるところから始まる。
赤飯缶の時は20分と書いてあったがこいつも15−20分と書いてあり、どこの国もその辺はあまり変わらないようだ。
なお缶詰飯はこうやって茹でることで丸1日はアルファ化した状態を保つことができるようで、そういえば自衛隊の缶飯にも24時間喫食が可能と書いてあった気がする。
缶飯は湯煎にかける前の状態は蝋細工のようなパラパラした物性で、映画「亡国のイージス」では真田広之が「とても食えたもんじゃないな」と言いながら食べるシーンがあった。
なのでしっかり加熱してアルファ化させることが重要、缶には電子レンジなら3−5分と書いてあるが、やっぱり缶飯は缶ごと茹でるのがいい。
というのは缶の中で再び炊き上げるような感じになるので、電子レンジだと水分が奪われてしまい水加減が少なめのご飯に仕上がってしまうようだ。

今わが家にはレーズン入りとプルーン入りの2種類のプロフがあるが、今朝はプルーン入りにしてみた。
鍋で煮ること20分、アッチッチと言いながら缶を取り出してパッカン式のフタを開ける。
まあ家でやるのは簡単だが、自衛隊の缶飯などは食えるようになるまで20分飯盒か何かで茹でなければならず、そのために大量の水も必要ということで野戦にはあまり向かなそうだ。
なので今はレトルト食の戦闘糧食に更新されてしまったのだが、個人的には陸自の友人からもらった赤飯缶とたくあん缶の組み合わせがあまりにうまかったので、民間で再販してくれんかなと密かに願っている。

茹でたての缶はめちゃくちゃに熱いので自衛隊さんなら軍手を使うのだろうが、民間の家庭では食器がふんだんにあるので、早速皿に移し替えてみる。
スプーンを突っ込んだ感触は予想に反してさらっとしていて、粘度の高いオコワみたいな状態を予測していただけに、これはうれしい。
ベチャベチャではなくちゃんとピラフのように米の粒が自我を保っていて、スパイシーでうまそうな香りがする。
食ってみたら、うむプロフの味だ。
というか新疆ウイグルで昔食べたポロ(手抓饭)の味だ。
中にはでっかいプルーンが二つ入っているのだがプルーンの味はほとんど残っていない代わりにご飯全体にフルーティだが嫌味でないプルーンの風味が満遍なく回っている。


うむ、これはうまかばい。
なんかこれ再現したくなってきたな。
以前アメリカのMREレーションに入っていた米料理が絶望的にひどい食感だったのでちょっと警戒していたが、これはうまかった。
ビクトリアショップよありがとう。
早く戦争が終わってまた商売を再開できる日が来たら、またウズベキスタン製プロフの缶詰をリピート注文したいもんだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?