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菅総理大臣の国連総会演説のまとめと感想

菅首相が国連総会一般討論でビデオ演説を行った。内政重視に見える菅さんが、どのように国際的メッセージを発するのか興味があったので、簡単にまとめてみたいと思う。

新型コロナについて

日本は感染拡大防止と両立させながら、社会経済活動の回復を進めている。感染症の拡大は「人間の安全保障」に対する危機である。各国と協調しながら国際的取り組みを主導する。

時期的にコロナへの言及に時間が割かれるのはやむを得ないが、「人間の安全保障」とはちょっと抽象的で良く分からない。非難の応酬をするアメリカと中国の間を取ったと言えるような無難な表現で、「意味のない形で意味のあることに言及する」という日本の必殺技ともいえるだろうと思った。

デジタル化に取り組む。

国連には全然関係ないし、外交的にも「ふーん」という程度のメッセージ性だが、菅カラーをちょっとぶっこんでみたというところだろうか。


国連改革

国連には中立・公正なガバナンスが一層求められている。安全保障理事会改革を含め、国連改革が必要。

アメリカがせっかく国連に対する改革の必要性を強く求めている現状なので、日本はうまく立ち回って是非常任理事国入りを目指して欲しいと思うが、公の場ではまあこの程度のことしか言えないのだろうという意味では、全く面白みのない発言。

法の支配

法の支配に基づく地域の平和と繁栄の基礎である「自由で開かれたインド太平洋」を推進する。

自由で開かれたインド太平洋は、日本が発案し、アメリカがノリノリになった日米主導の大戦略なので、もっと国連の場で押してもいいと思うが、とりあえず言及したことは評価できる。

北朝鮮

拉致問題について。条件をつけずに日朝会談を行う準備がある。

安倍路線の継承でもあるのだけれど、ここも菅カラーが出ていると思った。菅さんは拉致問題を動かしたいだろう。国連の場で発言したことには、大きなメッセージ性がある。

核兵器のない世界・東京五輪

日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くす。疫病に打ち勝った証として東京五輪を行いたい。

「核なき世界」でオバマ大統領がノーベル平和賞を取ってしまったが、本来日本が(理想論として)主導できる問題。現実には、核のない日本が核を持っている国に核を放棄させることはできないわけなのだが、理想論は主導して良いと思う。

「核なき世界」を声高に主張しながら、抑止力としての通常兵器を着々と強化していくぐらいの腹黒さが欲しいところ。

全体としては、ほぼ安全運転で終わったという感じの演説であった。


(画像は写真ACから引用しています)

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