やればできる日本政府外交:この迅速さを国民にも!
先日、日本から台湾にアストラゼネカ製のワクチンが届けられたことが報道された。
そういう話が持ち上がってから10日程度で遂行された、ノロマな日本政府にしては珍しい迅速なオペレーションだった。
奇跡的なWin-Win外交
「アストラゼネカ製のワクチン」を「台湾」に贈与する、文章で書くと一行なのだが、このミッションは極めて危うい橋を渡るものだったと思う。
「アストラゼネカ製のワクチン」は、日本国内では血栓症のリスクがさかんに報道され、ファイザー=安全、アストラゼネカ=怖い、という世論が形勢されていた。
アストラゼネカ製のワクチンを他国に供給することで、日本国内からは「日本で使わないワクチンを在庫処分変わりにした!」と政府批判の材料にされうるし、供給された国に悪意があれば「日本は危険なワクチンを送り付けやがった!」と言われかねない。
さらに、「台湾」にワクチンを供給するためには中国からの圧力を跳ね返す必要があった。
つまり、このワクチン外交は大きなリスクをはらむものだった。
極めて珍しいことに、日本はリスクを取った、そして成功した。
日本台湾交流協会に続々と感謝の言葉と花束が届けられたという報道は、涙なくして読めない。
菅政権には賛同しかねることも多々あるが、これに関してはよくやったと言いたい。政府批判の材料を探しているマスコミも、これについては評価するべきだろう。
台湾で認可されているのがアストラゼネカ製という奇跡的な幸運にも恵まれた。まさに、日本では当面使えないワクチンを他国に送って感謝されるという、Win-Win外交を展開したと思う。
「自由で開かれたインド太平洋」や「QUAD」のころから、日本外交も少しずつ玄人っぽさをみせるようになってきたと思うが、今回も久々の大ホームランだった。
こんなに迅速に動けるのなら、普段から動いてくれ!
今回のスピーディな対応には、安倍さんがかなり尽力したという話だが、一方で思うのは、こんなに早く対応できることもあるのに、どうして日本国内の政策については遅々として進まないのか、ということである。
昨年のアベノマスクや定額給付金も、10日ぐらいでスパっとやっていれば政府の評価も違っただろう。
「やればできるじゃん」という今回のエピソードを、今後の日本にも生かして行けることを強く望む。