「あなたからは片時も離れない」

この詩が亡くなった方やあなた自身の餞になるのかはわかりませんが
記したい
そう思い 今に至ります
どうして弔いではなく餞なのかと自問しています
そして果たしてそれが許されるのかということも

餞という言葉の由来の一説に
馬の鼻を向けるというものがあるそうです
この詩が餞になれればと祈る気持ちでいます
今はまだ とにかく 何もわからない
そのような暗中に置かれて
言葉がいったい何になるのかと
自問も止みません
ですが
「この度はご愁傷様です」「心からお悔やみ申し上げます」
そういう言葉を越えて
既に旅の途中にある方の無事と
これからの幸福を願いたいと思いました
いま あなたに この詩を 向けています
そして
いま あなたの大切な方のゆく先へ この詩を 向けています
あなたの謝罪には 否定と感謝を
あなたの後悔には 感謝と愛撫を

100円超えるのかよとした舌打ち
流石に郵便局からUターン
とまではならなかったかも知れないけれど
1万円で支払ったことならあったかも知れない
たった1枚の切手に

あなたからは片時も離れないのに
あなたはどの切手よりも私を
どこまでも伝えてくれた
受け取ってくれた
素晴らしい景色や風景を贈ってくれた

どうしてその種を食べるの
ふいに尋ねてみた時も
あなたはその頬をいっぱいにしていて
私を温めてくれた
生に懸命なのに
どこか愛らしくて
そういえばあの答えも
エネルギーを多く摂るためで
それもまた生きることにまっすぐで
わたし多くを教わった

あなたからは片時も離れないのに
あなたはいってしまった
私はそれすらまっすぐな
あなたによく似合う温かさだと思った

どうかこの餞が 言葉が詩が
あなたの行く先を明るくしますように
あなたへと繋がるこの道をも照らしますように
また会いましょう
きっと見せて
膨らんだ頬を

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