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【カルチュラル・エクセレンス】卓越した企業文化で社会に貢献する

オペレーショナル・エクセレンスの時代

かつて日本企業は、「オペレーショナル・エクセレンス」を強みに、世界を席巻してきました。つまり、「絶え間ないカイゼンによる良きモノづくり」こそが日本企業の、すなわち日本人の生きる道だったわけです。

★オペレーショナル・エクセレンスとは・・・
 業務改善プロセスが現場に定着し、業務オペレーションが磨きあげられ、
 競争上の優位性にまでなっている状態のことを言う。企業の競争源泉の
 重要要素として位置づけられることもある。
 企業戦略の一つとしてとらえることもできる。OPEXと略すこともある。

世界のTOYOTAやPanasonicに代表されるように、オペレーションの卓越により高効率/高生産性を実現し、日本の製造業は圧倒的な品質と価格で「ジャパン・アズ・ナンバーワン(Japan as No.1)」を実現してきました。

しかしながら、平成の「失われた30年」のうちに日本企業が時価総額ランキングから忽然と姿を消したことは、もはや誰もがご存知でしょう。

オペレーショナル・エクセレンス(=絶え間ないカイゼンによる良きモノづくり)だけでは、もはや競争優位性として不十分だということです。

これはマーケティングの観点からも明らかです。失われた30年はIT化の30年であり、マーケティング2.0「消費者志向」からマーケティング3.0「価値志向」への変遷のタイミングでした。「消費者が求めている製品は何か」を考えた2.0から、「人間にとって社会にとって価値あるものは何か」を考えた3.0への転換に乗り遅れたわけです。

マーケティング4.0は「自己実現」です。製造業までもがサービス業化(第3次産業化)する成熟した社会の中では、オペレーショナル・エクセレンス(業務オペレーションの卓越)では不十分なのです。

では、「カイゼンによる良きモノづくり」でないのなら、何をすれば良いのでしょう?その答えは、経営活動の「もう一つの要素」が持っていました。

もう一つのエクセレンス

経営活動は、大きく2つに分類できます。
「事業活動」と「組織活動」の2つです。

かなり端折って簡単に言うならば、
「事業活動」=お客様に関する活動、CX(マーケティング)
「組織活動」=従業員に関する活動、EX(組織開発)
若干語弊ありですがざっくり言うなら、
「事業活動」=営業本部、オペレーション部門
「組織活動」=管理本部、コーポレート部門
といったところでしょうか。

企業活動(経営活動)
 =事業活動(マーケティング/営業本部/オペレーション本部、、etc)
 +組織活動(組織開発/管理本部/コーポレート本部、、etc)

良い製品/サービスを提供し対価を頂く、という価値提供が「事業活動」のベースですが、これがなければ会社は成り立ちませんので、これが重要であることは言うまでもありません。その重要な要素の中で、オペレーショナル・エクセレンスを確立した日本企業はめちゃくちゃすごいわけです。

しかしもう一つ、同じくらい重要なものがあるのです。それが「組織活動」です。GoogleやApple、Netflix、日本ではサイボウズやメルカリに代表されるように、現代の企業には卓越した組織開発による競争優位、「カルチュラル・エクセレンス」が必要なのです。

カルチュラル・エクセレンスの時代

カルチュラル・エクセレンスを獲得する、つまり自社のカルチャーを卓越したものにするにはどうすればいいのでしょうか?

カルチャーはパーパスやそれに基づくビジョン、ミッション、バリュー(フィロソフィ/クレド)、経営理念などによりできあがります。それだけでなく、企業の歴史や、代表者(社長やリーダー)の考え方・意思決定スタイルなども大きく影響します。

カルチュラル・エクセレンスを獲得することで、従業員が高いエンゲージメント(愛着/貢献意欲)で働くことができます。

高いエンゲージメントがディズニーやアップルのような生き生きとした従業員を生み出し、そこから良いアイデアやサービス(感動体験)を生まれたり、良いブランドイメージの形成に繋がり、良い人材がさらに集まり、良いお客様が集まり、、、

高いエンゲージメントが離職率の低下や長期的な業績向上、ミスや欠勤の減少などにも繋がることも証明されています。

組織開発はいわば、従業員へのマーケティングです。今はマーケティング4.0「自己実現」の時代ですから、従業員の自己実現を自社で支援し、従業員がお客様の自己実現に伴走できる環境を整備すること、もっと言えば、会社としてこのような考えを持って動くことこそが、この【カルチュラル・エクセレンス】であると言えます。

「企業経営の目的は、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」(稲盛和夫)

これができない会社は、経営の目的の一つである「従業員の物心両面の幸福」を達成できませんから、結果的に「社会に貢献」することもできません。

全ての企業が、その企業の個性に合った【カルチュラル・エクセレンス】を目指していくことを願います。

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