見出し画像

資源・エネルギー1(石油)

ここから、資源やエネルギーの話に入っていきます。
今回は石油を取り上げます。
石油の埋蔵量、生産量、そして輸出額・輸入額から各国の状況をみていきましょう。石油は最も重要な資源なので地理Bではよく出題されます。

埋蔵量の変化

埋蔵量のデータはこちらを利用しました。
石油に限らず埋蔵量は、新たな発見や掘削技術の進歩などで大きく変動します。1980年と2020年を比較すると世界の埋蔵量は2.5倍にもなっています。

どの国で埋蔵量が増えているのでしょう。
データがそろってきている1995年をベースにして2020年時点でどのくらい埋蔵量が増減しているのかを見てみました。

1995年から2020年の石油埋蔵量の増減

米国の埋蔵量の増加要因はシェールオイル・シェールガスの採掘が可能になったことです。従来は経済的に掘削が困難とされていた地下2000メートルより深くのシェール層にある石油を掘り出すことができるようになったのです。

カナダ、ベネズエラの埋蔵量の増加要因は、超重質油の埋蔵量が確認されたためです。
その中でもベネズエラの増加量が突出しています。1人当たりGNIの記事でも取り上げましたが、ベネズエラは現在、世界最大の石油埋蔵量を誇っています。しかし後でも取り上げますが、政情不安定や欧米の制裁などにより、原油の採掘設備や製油設備への投資が行われず老朽化が進み、産出量は激減しています。

超重質油は粘度が高く製油にコストがかかることが大きな問題です。カナダは製油技術によって生産量を上げられていますが、ベネズエラは経済破綻しておりそのような投資ができていません。

生産量

生産量のデータはこちらからもらいました。
ベネズエラの例からもわかる通り、埋蔵量と生産量は一致しません。各国のデータが揃ってきている1990年の石油生産量を見てみます。ここでは年間生産量が5000万石油換算トン以上の国を列挙しています。

1990年は、ロシア、アメリカ、サウジアラビアの3強です。このころはベネズエラはまだ7位に入っていたのですね。

では2017年ではどうでしょう。

3強はほぼ変わりませんが、カナダの生産量がかなり上がってきています。一方でベネズエラは生産量が増えておらず順位を落としています。埋蔵量を技術革新によって活用できたかどうかの違いが見て取れます。

世界の原油取引

次に、生産された石油がどのように取引されているのかを見てみましょう。

輸出額

世界の主な原油の輸出国は以下のとおりです。

みなさんご存じのとおり、サウジアラビアが圧倒的です。石油マネーで潤っている国です。ロシアも同様に資源の輸出で経済が成り立っている国ですね
。両国とも石油輸出頼みの国なので、それ以外の産業が育ちにくくなっています。
3番手にカナダが来ています。超重質油を活用してここまで輸出を伸ばしてきています。ベネズエラも政情が安定すれば、これ以上の輸出ができるポテンシャルがあるのでしょう。
埋蔵量、生産量ともに上位の中国が輸出国として入っていませんね。

輸入額

次が輸入額です。

中国が1位です。自国の生産量だけでは足りずにさらに多くの石油を輸入しています。まさに世界の工場です。
輸入国には先進工業国が並んでします。韓国が日本よりも多いのが特徴です。韓国では石化学工業がかなり発展しています。

SASプログラムとデータ

今回作ったSASプログラムとデータは以下のものです。
SASプログラム
今回は特別なプログラム技術を使っていませんが、いままでやっていないこととすれば、csvではなくExcelを直接読み込んだことです。

石油の埋蔵量データ

石油の生産量データ

石油の輸出入データ

まとめ

石油に限らず、埋蔵量や生産量は技術力の向上に大きく依存します。また生産量と輸出入額はその国の政情や世界情勢にも影響を受けます。共通テストでは短期的な世界の動きは出ませんので、長期的な流れをつかんでおきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?