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Dr.キャリックの神経学

カイロプラクティック神経学(キャリック神経学)の基本の「き」は、【神経を殺さない】もうこれに尽きる。

神経系というのは、中枢から末梢そして末梢から中枢と言う具合に、閉じられた回路なんすよ。
だけど感覚器を通じて、外部にも開かれているという複雑な(面白い)回路なんです。

キャリック神経学では、閉じられた神経回路の中で、どの部位で神経が興奮しやすくなってるか?どの部位で神経の抑制機能が低下して結果的に神経が興奮してるのか?
これを考えるんですよ。

カイロプラクティックの創始者DDパーマーが天才と言われる所以の一つに、彼はこう言ったんです。

「病気は神経の流れが過剰、もしくは過小の時に起こるが、大半は過剰の時に起こる」

この言葉は、キャリック神経学を学び始めた初学者は“ゾクゾク”っとするよ。
なぜなら、この当時まだ神経が、シナプスで連絡してるシナプス説と中枢から末梢へ神経が網の目のように向かう網様説で決着が着いてなかった時代だからです。
(網様説なら神経のどこかでトラブルが起こると、そこから先は虚脱しかないんですよ。シナプス説なら2回シナプスを介すことで末梢の効果器例えば筋肉なら脱抑制を起こし過緊張するんです)

そしてキャリック神経学で声を大にして言うのは、「神経を殺すな!」です。

神経が興奮しやすくなってる状態が、神経を殺してしまう危険があるんですよ。

俺らの治療刺激が適切でなかったり、刺激量が多すぎたりすると、知らず知らずのうちに患者の神経を殺してしまうんです。

それを自覚してる治療家は、まずいない!
なぜなら俺はこの話をキャリック神経学以外で聞いたことがないから。

そしてキャリック神経学を受けるには、それなりにハードルが高いんですよ。
誰もが受けられる恩恵に預かれない。

じゃあここで神経が興奮しやすい状態をシェアしときます。

まずその前に、「神経の生存の条件」を知らないとあかん。
それは大きく言うと2つある。

①刺激による活性化
②燃料供給

①の刺激による活性化は、光、音、味、匂い、温度そして重力なんだ。
②の燃料供給は、酸素と栄養(グルコース)。

これを踏まえて話を進めると理解しやすい。

神経が興奮しやすい状態には、偶然だがこれも2つだ。
1)神経細胞の変性
2)興奮性シナプス後電位(EPSP)

1)から説明すると…
神経細胞の変性の原因は、①刺激や②燃料が不足することによる不活性化。
この変性が進行すると、細胞は膨潤して死に至る。初期の段階では興奮しやすく、静止電位がほぼ閾値に達すると自発的な脱分極が起こる。
神経が閾値に近くなっている時に、その代謝率を超えた刺激を与えると神経は死ぬ。

つまり俺らの刺激が強いと、患者の神経を殺してしまうことがあるってこと!

じゃあ強い刺激って何かって言うと、「速い」刺激なんだよ。

つまりⅠaとかⅠb線維なんかから刺激を入れると、神経細胞を殺してしまうんですよ。
例えばカイロプラクティックとか整体とかですよ。運動療法なんかもそうですね。PNFなんかはタイプⅡ線維を使います。

閾値を距離で例えよう!

閾値が低下 = 距離が近い
…と例える。
最寄りの駅まで行くには、歩いたりバスに乗ったり、せいぜいスクーターでしょ。
もっと早い方が良い!と言って音速を超える戦闘機なんて乗ったらあなたの最寄り駅は破壊されるんですよ。

閾値が低下した、つまり自発痛なんかある人は、まずは閾値を広げないといけない。
それまでは遅い刺激を使わないといけないんですよ。

光とか音とか匂いとか…
あるいは本を読んだり、計算したり、手作業したり…こういう事は作業療法士が得意だろうね。幼稚園の教員とかも。
理論的背景を彼らは知らないかもしれないけど。

キャリック神経学なら光も使うし、音楽なんかも患者の状況に応じて、どんな音楽を聞かせるかも決定する。
匂いなんかもアロマセラピーがあるが、キャリック神経学なら右の鼻から?左の鼻から?なんて事も考えたりして。

長くなったが、今度は…
2)興奮性シナプス後電位(EPSP)について
これは侵害受容器からの疼痛刺激が絶えず脊髄後角を襲っている状態。

脊髄後角は痛み刺激が絶えず送られると、真面目なので、それを漏らさずキャッチしようとする。
つまりタンパク質で出来たキャッチャーを増員させるんですよ。
だからそうなると痛み刺激が減ったとしても、キャッチャーのエラーが無くなるので、痛み刺激を拾ってしまう。

俺たちが治療して、これで良くなるだろうと思っても、患者の反応がイマイチの時ってあるよね?
俺たちは、そんなはずないやろ!って内心思っても、患者はあんまり変わらんとか、まだ痛いとか言う。

それ、キャッチャーが多くなってんのよね…

痛み刺激が無くなったら、キャッチャーは10日で半減する。さらに10日で半減…。

だから早い段階での痛みからの解放は大事なんですよ!

我慢はダメ!
どんな手段でも良いから、まずは痛みを止めること。
それが薬でも注射でも、早い段階の痛みの遮断は大事。

今日はここまでにしとこ。

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