グラップラー刃牙にハマる(Pさん)

 電子書籍で何を買ったかといったら、今まで本腰を入れて読んだことのなかった、グラップラー刃牙という漫画をひたすら買って、読んでいる。
 学生の頃はむしろこういう、バトル系とか血なまぐさい感じの漫画は苦手だったので、避けていたけれども、今あえて読んでみるとなかなか楽しめる。
 グラップラー刃牙を知ったのは、前にタイピングゲームで知り合ったおじさんが、グラップラー刃牙の登場人物にちなんだハンドルネームを付けていたことを知ったので、あの頃自分が二十代前半でその人が四十近くだったから、今生きているとしたら五十か、六十近いはずだ。
 今、その人の行方は杳として知れない。
 その頃の知り合いの半分以上は、杳として知れない。
 誰が生き残るかなんて、その時全くわからなかった。
 グラップラー刃牙には、ジャイアント馬場とアントニオ猪木をパロったキャラが出てくる。そして、「プロレスでは本気を出していないけど地下格闘技では……」という、何とも夢を持たせる設定がおそらく当時の子供を夢中にさせたんだろう。
 その他、格闘技の驚くべき、一部本当なのか疑わしい部分もあるが、虚実入り混じった知識がどんどん降ってくる。曰わく、力士は小指一つで相手のまわしを支えているから小指の力が尋常じゃない、やれ空手の最強の受けのポーズをすれば何を食らっても平気だ、等々。
 あんなのも、当時の子供は真似て、同じポーズで構えて痛い目に遭ったりしていたのだろう。
 当時、当時といっても自分が思っていたより古くはなく、九十年代前半から後半まで連載していたものらしい。
 一晩に十巻は読んでしまう。漫画の一巻って、もっと長いイメージだった。どんどん読む。もったいない。贅沢なものだ。バカになりそうだ。

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