夢に出てきた本(Pさん)

 前にツイートしたかもしれないけど、夢の中に出てきた理想の本(作家、シリーズ)というのがあって、随分前に見た夢なのにいまだに覚えているとは驚きである。といっても、何で覚えているのかといえば、ツイートで内容を詳細にまとめ、やもすればどこか粉飾していたり大げさに言っていたりするからかもしれない。
 その本の概要はこうだった。
・図書館のリサイクル本に出されているので見つけた
・青い背表紙の、一昔前の文学全集みたいな形になっていたが(日本短篇文学全集というのに最も近かった)、五十巻から百巻くらいある、個人全集である
・その作家の本は、どこを切り取っても面白かった、小島信夫とかの面白さに近かった
 という感じで、まあ夢なんだけれども、夢独特のリアリティが襲い掛かってきて、起きて普通はクールダウンしているであろう時間が経過してもなお、その本が本当に存在するはずだという確信が捨てきれず、いろいろ調べたり、上記のごとくツイートにしたりしていた。
 それでさすがに何か月か、数年か、どれくらい前にツイートしたのかもう忘れたけれども、それだけ経てばもう夢なのだというのもわかる。ただ、それぞれのリアリティがどこからとられたのかというのもどこか思い当たるところがある。実際に、昔通い詰めていた図書館の目立つところに、「日本短篇文学全集」という、その「短篇文学」っていう括りって何? と思わざるを得ない、昭和初期か中期くらいによくあった文学全集があり、二段組みなのと独特のサイズ感なのとで、変に印象に残ったのを覚えている。それから、それもそのころなのかもしれないが、たいていはライトノベルとかよくわからない地図とか白書とか絵本とか、そういった自分の興味から外れているラインナップの中で、ほんの時たま自分の趣味に合致する本がリサイクル本として無料提供されているのを見つけた時の喜びがある。その二つの感覚が混ざり合ったのだろう。
 その夢の中では、その作家のそのシリーズを読んでいくだけで、一生楽しんでいけると思っていた。なんとも少年臭い。

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