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ウサギノヴィッチにエッセイマガジン。主に短編小説の書評のようなエッセイ中心だが、文学周りだけでなく、サブカルやガジェットまで取り扱う、なんでもエッセイ。
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2020年5月の記事一覧

それは罠です(ウサギノヴィッチ)

「マルハタリラ」  ぼくの友達が、薬で捕まったときにぼくはちょうど彼と電話をしていた。彼は、よくその言葉を使っていた。 ──マルハタリラが今日うちにやってきてさ、掃除してくれるのよ。あの子気が利くじゃん。だからさ、本当に助かるわぁ。  話の途中で、カシュッていう音が入るきっとタバコを吸っているのではないだろうかと思う。ぼくは、彼の口から出た「マルハタリラ」の意味を尋ねることなく、淀みなく彼と話を続ける。 ──そうなんだ。優しい人なんだね。大切にしな。  ふぅと煙の吐く音がする

長所と欠点(ウサギノヴィッチ)

 公道に面する窓はいつも締め切っているし、カーテンも閉じていた。しかし、その方角は日が照っている方角で、どうしても、カーテンだけは開けたいと思ってしまう。時々カーテンの代わりに、シャワーを浴びたときに使ったタオルをカーテンレールに引っ掛けるときがある。カーテレールの上のところも、そこだけホコリが溜まっておらず、キレイだし、タオルも部屋干しなので臭いが付く。  コンビニの夜勤のアルバイトなので、普通のサラリーマンとの働いている時間が違う。だから、洗濯するタイミングも夜やってもい

輝ける星の中で

「ゴミ箱が机の近くにある人は、優秀な学者になれる」はイギリスのピーター・ランセル氏が世界ユナイデットインテリ協会に提出した二百枚に及ぶ論文の三十五ページ目の二十四行目の引用だ。  これを読んだ協会員はあながち間違えではないと思う一方で、自分はどうだったかと思い出したになった。中でには、ゴミ箱と机の距離で優秀かそうでないかなんて決まるはずがないと反対するものもいたが、その人は案外効率的な人間で、机の周りで手の届く範囲には、ティッシュとペン立て、メモ帳、ゴミ箱などあったら便利な物