マガジンのカバー画像

葛布の帯のこと

40
葛布の帯の特徴や取り扱いの具体的なことについてと、それに付随するいくつかの諸々についてまとめています。2019-2020あたりにFacebookページで連載していた記事を転載した… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

<特殊な座繰り糸について>

葛布八寸帯地「oykar」の詳細紹介ページを作りました https://kuzunonuno.com/oykar/ 写真 良く見ていただくと縦方向に地紋のように縞模様が入っているのですが これは経糸に ちょっと特殊な繰り方をして頂いた座繰り糸を使っているためです いつも絹糸をお願いしている群馬県の蚕絲館さん 数年前、お送りしたサンプル布をご覧になって作ってみたくなったと送ってくださった試作糸がいくつかあり、これはそのうちの一つ 私も使ってみたくなったのでお願いしたのです

〈色数が多くないことについて〉

何かの制作の依頼をする場合には、人それぞれ お好きな色 というのがきっとあると思います 葛布の帯地の制作をご依頼いただく場合も その色柄について 出来るだけお好みに応じたいともちろん思うのですが 同時に 出来ること出来ないことの線引きも しっかりとしたいと考えています 私の場合は 染料をなるべく身近な植物から得ることを軸としており、さらにその数も5〜6種類と限定しています 制作の方向としてあまり多くの色を使わず 色の確かさも含めたシンプルゆえの広がりを模索していきたいと

〈続・葛布の帯の締める季節について〉

良く尋ねられる 葛布の帯の締める季節について、以前も一度書いていますが (「葛布の帯の締める季節について」 https://note.com/kuzunonuno/n/n49809e2a522c?magazine_key=mcc6865a9fa7f) 例えばここ数日の札幌のように(2020.9.18記) 真夏のような涼しげな服装では少し季節外れだけど 秋のような装いでは暑い というような狭間の季節にも とても重宝すると思います 軽くて通気性が良く、身体の熱を逃してくれる

〈場所によって繊維を使い分けていることについて〉

そんなに厳密ではありませんが帯地の場所によって使う繊維を変えている  例えばタレ先、テ先、お太鼓、結ぶ場所 というような 今年初めて採らせて頂いたところの葛の繊維がツルツル滑らかで光沢があり弾力もあり素晴らしく良く、糸を作っていて感動した こういうのはお太鼓やテ先、前帯に来るあたりなどに使う 生えている葛自体の性質ももちろんあるが それ以上に天候や川、ススキの発酵床の状態、そして私の作業の仕方やタイミングなど 全てが影響し合いながらの結果であるので一夏20回 例え同じ場