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#3_2 #ババババンビ の新メンバーに、地下アイドル業界の未来を見る

2021年2月25日、地下アイドル業界に衝撃が走った。
事の発端は一つの運営ツイートである。

ここで追加メンバーとして発表されたのは以下の2名である。
・前FES☆TIVEで昨年に突然脱退した近藤沙瑛子さん
・前monogarari(旧原宿物語)で昨年解散した柊宇咲さん

直近でも他グループで別グループ出身の人(前世持ち)の活躍が目立つことであるが、ゼロイチファミリア(#ババババンビの事務所)は2020年から2グループの活動をはじめ、その顔面偏差値の高さやもともと別業界で人気のある人を迎えるなど話題の事務所であり、今回の一件は地下アイドル業界を大きく騒がせている。

ただ、今回より大きく関心を示すべきは、今までのアイドル業界と完全に組織体制が変化してきていることであるといえる。
ここで、現代の日本社会の採用活動を見てみたい。

日本企業の採用活動の変化

何を話し始めているのかと思っている人もいるだろうが、少しお付き合いいただきたい。

昭和・平成の日本企業の採用活動といえば、終身雇用制に伴う新卒一括採用型であるといえる。
この時、採用基準としては「学歴やポテンシャルの高い学生」を選び、社内教育により職業的能力や技能を身に着けさせたといえる。(こと、筆者も新卒一括で、社宅に住み、教育に多額の費用を掛けられた人である)

一方で、近年では中途採用が非常に増加しているといえる。
例えばビズリ―チを筆頭とした転職系のサイト広告が多く掲出されたり、「第二新卒採用」などという言葉が生まれたのもこの時期ではなかろうか?
この時、企業側のメリットとして「即戦力としての活躍」と「教育コストの削減」があげられる。要は、採用した次の日にはどんどん稼いでくれるといった存在である。

このように、ざっくりとであるが、日本企業は新卒&育成から、中途&即戦力へと方向性が変化していっているのである。
この背景は、単に転職市場に優秀な人が増えたからともいえるが、やはり景気の中で、新卒をじっくり教育していく体力がなくなってきていることにあるのではと考える。

地下アイドルの採用

多くの地下アイドルでは、やはり最初は完璧な存在より将来性の高い人材を採用する傾向がある。
もともとハロプロは研究生制度で育成したメンバーを表に出していく流れであった。その後AKBでは劇場を用意し、研究生であっても表に立つ舞台を用意し、その場での成長を共にすることを価値とすることでファンを獲得した。
事実、秋元康も「AKBは高校野球でプロ野球ではない」という趣旨の言葉を何度も発しており、素晴らしい技術を体験することより、そこに向かうドキュメンタリー性に体験価値を見出している。

また、単に地下アイドル運営が事務所で行われたものが少なく、多くは個人や小さな事務所で始まったものが多いため、結果優秀な人材を採用するだけのスキルがなかったり、条件が合わなかったりすることも考えられる。
ただ、少なくとも地下アイドル業界は実力・経験がない人材を採用し、育成過程をドキュメンタリー性で価値を出していくものだといえる。

地下アイドル業界の衰退期

ここでマーケティング用語を一つ上げる。

「製品ライフサイクル」
製品にも生物と同様なライフサイクルが存在するというアイデアで4つの木が存在する。
導入期:新製品の導入・売上や利益が低い
成長期:急激に売上や利益が上がる
成熟期:成長が鈍化する
衰退期:売上や利益が減少する

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※GROBIS知見録から「https://globis.jp/article/6695

地下アイドル業界は確実に衰退期であることがわかる
この辺りは今後詳細記載することになるが、地下アイドル業界への流入のほとんどが「近しい他文化からの流入」と「地上アイドルからの地下落ち」の2つであり、前者はその文化にアイドルを近づけない限りなかなか難しいものである(つまり、業界に人が流れるのではなく、1アイドルが積極的に攻勢をかけてファンを取るという形である)。
5年近く前は乃木坂全盛期で、同様に握手会のコスパの悪さから地下アイドルに来るヲタク(通称「坂落ち」)も急増していた。
一方、現在はどの地上アイドルも全くアイドルに興味がなかった人を獲得するほどの文化は作れていないし、同様にファンの固定化があり地下アイドル業界への流入も減少している。

ここからもわかる通り、地下アイドルというコンテンツ自体が衰退期に入ってしまっているといえる。

この中で、衰退期に取るべき企業活動は主に3つといわれている。
①撤退
タイミングを見計らっての撤退。低利益なのだから仕方がないともいえる。ここ数年でどの企業も撤退に追い込まれている領域があるといえるが、やはり多角化に伴う採算の取れない領域からの撤退が大きいといえる。
②市場再拡大
製品属性に対する新しい需要の創造や、画期的な技術革新の導入をきっかけにしたものが多いとされる。よく出てくる事例はビール業界である。1980年台前半はウイスキー時代(輸入自由化や水割りの流行)であり、ビールの需要は横ばい状態であった。その後アサヒのスーパードライの大流行により、一気にビール需要が広がったといえる。一方で、近年は顧客の高齢化(若年層ファンがつかない)ことから、元乃木坂メンバーをCMに起用するなど、ブランドの若返りを図っている。
ここでは、ただ技術革新を行うだけでなく、「海外進出」「同技術の別利用」なども考えられる。
③残存者利益
ライバルの大部分が撤退した中で、残った企業が利益を享受する。すでに成熟したために、普及率の向上や生産設備の投資なども不要であり、低コストで利益率が高くなる場合がある。

#ババババンビ は何を狙うのか

結論としては
地下アイドルは衰退市場である
②そのために残存者利益を獲得していく必要がある
③それには急を要するため、投資し育成する時間がない
④結論、中途採用と同様に即戦力を採用し、一気に残存者利益を出していく(また競合との差別化ポイントとしても)
というところから、完全に残存者利益を一気に奪いに来た存在だといえる。
※正直、成熟⇒衰退で中途採用に切り替えることのロジックが少し弱く感じるが、一般企業においても立て直しや短期間での稼ぎの最大化に中途を用いるのは至極まっとうであるといえる。

地下アイドル業界のNO.1になるかは難しく、また残存者利益の獲得も不明であるといえる。
というのも、この地下アイドル業界は「ドキュメンタリー性」を体験価値にする中で、そのドキュメンタリー性(≒応援したくなるモチベ)が少し欠落しているのが現状である。

知名度・実力ともに抜群で、地下アイドル業界のトップ層に食い込もうとする#ババババンビが、今後どうファンを獲得していくかは非常に注目すべきところであると考える。

まぁ結論かわいくてライブが面白ければファンはついていくと思うが。

閑話休題

久々に筆を問たわけだが、実は完全に別の勉強に時間を割かれていて、noteを書く時間がなかったりしている。
今後は#1や#2をもっと書き溜めて、4-5月あたりに一気に皆さんにご覧いただけるような形で準備を進めていきたいと考えている。


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