婚姻編 101回目 百参

外国籍同士、外国籍と日本人との身分行為において、

当事者の本国法を基本に考える場合、日本の役所に

届出をするときに、その身分行為に必要な書類を

添付します。

この書類は届出をする当事者が自分自身で集めて

提出する必要があります。

その場合、要件具備証明書や、国籍証明書、

出生証明書、婚姻要件証明書など、日本語であれば

漢字だらけの書類ですが、要は、これらと同じ内容

もしくは、証明すべき内容が記載されている

本国官憲の証明書を取り寄せて、添付、提出になる

わけです。

しかし、とうぜん、本国官憲の正式な証明書ですから、

現地の言語で書かれていますから、日本の役所でその

書類を提出しても、解読が難しいですし、その書類が

正規の書類かを識別するのは非常に困難です。

(ある程度、届出件数が多い国などは、役所側にも

経験則や、手引書などもあるため判別ができますが、

それほど届出件数が多くはない国の場合は、役所側も

初めて見る場合や、経験則不足で判別ができない場合も

少なくありません。

また、本国の制度として、日本側で要求する証明書が

発行されない。発行することができない。

または、日本側が求めるレベルの官憲証明書としての

信用性が担保されないものである場合は、

それら証明するべきことの根拠となる条文や、法文の

コピーと翻訳を提出する必要なときがあります。

その場合、法文や、証明書を翻訳文に作成して提出

する必要があります。

その際の「翻訳文」をどうするか?ですが、

法律上は、特定の翻訳機関や、専門業者や、

専門家の翻訳をしなければいけない。とはなっていません。

極論をすれば、提出する本人が翻訳をすれば良いと

なっています。

多くの場合は、在日の本国大使館や領事館に問い合わせや

依頼をして入手している場合があると思います。

そこで、

外国法令の邦訳については、外国人当事者の本国在日大使館等に

よることが望ましいが、その他の方法として、大都市に設置されて

いる「国際センター」等の機関を通じて、当事者が翻訳者(翻訳業者)

の紹介を受けることも可能である。

(ただし、「国際センター」に所属するボランティアによる法律の翻訳

はできないことになっている場合が多い。)。

実際的には、翻訳会社等に依頼する場合が多くなると考えられる。

(加藤文雄 「新版渉外家事事件整理ノート」72項)

法律用語は、各国の法制度や、法学によってそれぞれ意味合いも

定義もことなります。

説明文や注意書き等であれば当事者が邦訳しても問題は少ないと

感じますが、権利関係や事実関係に関する部分に関しては、

法律における規定によっては得喪に関わることもあるため

注意が必要です。

その場合には、原文のコピーと翻訳文を一緒にして

提出するなどをして、より正確性を担保しておいた方が

良いでしょう。