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053 ラジカルの素反応過程に対するパルスESRによる反応速度定数測定

【私の研究はこんな感じ】
ラジカルは化学における反応活性種として知られ、基礎的な有機反応、樹脂や潤滑油の劣化反応、生体内の活性酸素反応など、様々な化学過程に関わります。これらの過程は複雑な素反応が並行して進みますが、個々の素反応は観察が難しいのが現状です。私は、パルスESRとレーザーを併用した計測システムを用い、これら素反応に関与するラジカル種を選択的に観測しながら反応速度を計測する技術を開発しました。この方法は、スピン分極と呼ばれる特殊なスピン状態をもったラジカルのみ適用可能なため、万能ではありません。しかし、観測可能なラジカルに対しては素反応の速度定数を決定し、公表しています。

【こんなことが困っています・こんな相手を求めています】
ラジカルの反応速度を計測する方法を開拓しましたが、この世に幾多もあるラジカルのうち、どのようなラジカルの反応が大切でインパクトがあるのかについては、知識が乏しい状況です。ラジカルの反応について、その速度定数という「数値」を得ることに困っておられる方がありましたら、速度定数の測定について見当してみたく思っています。

【私はこんなことができます・こんな協力ができます】
有機、無機をとわず、ラジカル分子であれば、計測できる可能性があります。多くの大学にあるような通常のESRではなく、1マイクロ秒よりも短い時間におけるラジカルのスペクトル測定を行う時間分解ESRという計測方法を用います。また、パルスESRと呼ばれる、現代のNMRと類似の計測法を用いたESR測定も可能で、これを活用することで短寿命のラジカルでも反応速度定数を計測することができます。ただし、観測可能になるためにはいくつかの条件があり、これに関するノウハウがないと計測できません。我々は、このようなノウハウをもっており、観測可能か否かの判断もできます。

【コメント・問合せ】
神奈川大学産官学連携推進課  sankangaku-web@kanagawa-u.ac.jp