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山の夜の暗さ、明るさ

はじめて山に泊まると、山の夜の暗さに驚く方は多いと思います。

都会では、街灯や建物の明るさで夜でも歩くのに不便しません。

しかし、山の夜は、明りが無ければまともに歩けません。

ヘッドランプは登山では絶対に忘れてはいけない登山用具の一つです。

さて、今日はそのような山の夜について、昔、登った山の経験も交えて書いていきます。

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4年前の秋に新潟・群馬の茂倉岳(1,978m)と谷川岳(1,977m)を縦走しました。

2日間の行程で、初日は土樽駅から茂倉新道を登り、茂倉岳に登頂しました。夜は、山頂直下の茂倉岳避難小屋に宿泊しました。

二日目は、一ノ倉岳、谷川岳のオキノ耳、トマノ耳と縦走し、

天神平まで下り、ロープウェイで土合まで降りて下山という計画でした。

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初日に宿泊した茂倉岳避難小屋で、山の夜の暗さを強く実感しました。

夜に翌日の朝食に使う水を取りに、小屋から数分歩いたところにある水場に向かいました。

水場について、水筒に水を入れます。湧き水の水量が少なく、なかなか水筒に水がたまらない・・。

退屈してきたので、なんとなくヘッドランプの明かりを消してみました。


・・・


本当に真っ暗でした。月が隠れていて、周りに明るい建物がなかったこともあり、暗闇が広がっていました。(泊まった小屋は、避難小屋だったため小屋の周囲に明かりはありません)

風もほぼ無い晩秋の夜だったので、静けさも広がっていました。

山の夜は、昼間とは別世界で、若干恐怖を感じました。山の夜に怪奇現象など不思議な経験をしたことが書かれた本の内容を思い出し、少し鳥肌が立ちました。

しかし、この暗さを体感し続けると、山は夜になると「別世界」になるのだから登山者はさっさと眠って、山の夜の世界を邪魔しないことが、山への敬意、山の掟なのではないかと思うようになってきました。

このようなことを色々考えているうちに、水筒の水は満たされ、私は暗闇のなかを進み、また小屋に戻ったのでした。


山の暗さを実感した山行があった一方で、山の夜の明るさが印象的だった山行もあります。

3年前の夏に、北アルプスを縦走したときの話です。

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この山行では表銀座コースを縦走し、初めて槍ヶ岳(3,180m)に登頂しました。

槍ヶ岳に登頂した日は、山頂直下の槍ヶ岳山荘のテント場でテン泊をしました。

この夜、トイレで目が覚めて、テントから外に出ました。

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驚きました。月明かりが地面を照らし、昼間のように明るかったのです。

標高3000m以上の場所からの月明かりは、平地以上に明るく感じました。

この時は、ヘッドランプが無くてもしっかりと歩くことができるほどでした。

そして、何と言っても、月光を浴び、ぼんやりと三角形の姿を顕わにした槍の穂先が大変美しかったです。


この二つの山行で経験した山の夜は今でも忘れられません。

夜らしい夜を味うことができることも山の魅力の一つだと思います。

暗闇、満点の星空、静けさ、月明かり。

都会では感じることのできない夜が山にはまだ残っています。

今度登る山の夜は、どんな夜になるのでしょうか。


今日はここまで。

拙い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。









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