古い家は日本の宝物
こんにちは。木のいえ設計室くわくわの巻京子です。
2016年4月に起きた熊本地震。多くの古民家が取り壊されました。その中で御船町にある築100年近い3階建てのこのお宅は、オーナーさんの希望で、改修することになり、残ることになりました。
川沿いのこの家は、昔商家の個人宅だったそうです。とても気に入ったので大切に保存しながら暮らしていきたい、と話しておられました。
なんと! 3階建てです。壁の漆喰が落ちてしまい、下地の調整をしているところでした。土壁の下地は竹で編んだもの。竹小舞をかける職人さんも今はとても少なくなってしまいました。
内部の壁も竹小舞。柱も貫(柱をつなぐ横の木材)も一般住宅の中ではしっかりしたものを使っていました。やはり3階建てを作るためには必要な部材だったのだと思います。
ここは2階。太い登り梁が3階まで伸びています。この部屋の漆喰はすでに補修が済んでいました。歴史を帯びた茶色の柱(塗装はしていません。)と漆喰のコントラスト。美しいなあ。
現代、日本に古くから伝わる伝統構法の家を建てられる大工衆が本当に少なくなってしまいました。建築基準法上も確認の際に構造計算が必要なので、費用がかかってしまう。時間もかかる。写真のような材料は今手に入れることがとても難しいのです。
漆喰を扱うことのできる左官職人がいなくなると、コテ(壁を塗る道具)を作る職人さんもいなくなる。
木を見て柱や梁を刻むことができる大工も少なくなりました。
地震後、立派な家がたくさん取り壊され、再利用できる腕をもつ大工がいない。新しくできた家はサイディングの展示場のようなものばかりになってしまいました。
文化を残し、育てる。そういう意識がなくなっていくのが残念でなりません。
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