裁量権って何や?裁量権は「ある」ものではなく・・・
こんにちは、くわです。ずっとやるやる言っていた情報発信。
まだまだnoteの使い方がわからないですが、ぼちぼち発信していこうと思います。
発信しようと思った理由は、
・京都に来てから、社会人の仲間とディスカッションする機会が非常に減った
・学生や若手とキャリア面談する中で、同じ話をすることが多い
と感じ、これは情報発信していけば、状況打破できるかもと思ったからです。
と言いながら、なかなかはじめなかった理由は、
・なんかマウント取りにいくみたいで嫌という厨二病的なものが・・・
・組織に属している以上、書きたいことが書けない事も多い
ということだったんですが、
発信しようと思う理由の方が上回り、とりあえずやってみようということで、がんばって続けていければと思っています笑
簡単な自己紹介ですが、幼少~高校までは転勤族でいろいろと住んで(東京→横浜→大阪→福井)、
京大→京大院。卒業後某商社に入社。人事を経て、運命的な出会いで、
ITベンチャーへ。新卒採用メインでいろいろ経験後、現在は京都オフィスの責任者をやっています。
なので、主に人事関連で、学生や若手社会人、人事向けに何か少しでも参考になればなと思ってざっくり発信できればなと思っています。
■裁量権のある会社で働きたいって?
前置きが長くなりましたが、表題の件に関して。
今でも採用関連やちょっとした手伝いやプライベートで年間200~300人くらいの学生や若手社会人の方と会うのですが、
「裁量権のある会社で働きたい」と言われたり、就活の軸的な話をする方が多い。
そういう場合、私は必ず、「『裁量権のある会社』って具体的などういう会社?」という質問をするのですが、
答えられなかったり、「自由に働ける」「自分で決められる」みたいな答えが多いと感じる。
もちろん、自由に自分で決められれば楽しいのかもしれないが・・・
そもそも「裁量権」って?
自由裁量権。その人の考えによって処理できる権利。http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BA%DB%CE%CC%B8%A2(Hatena Keywordより)
自分で考えによって処理できる権利。契約を取るにしても、ものを作るにしても、もちろんモノを買うにしても、基本的に(もちろん)「決断・判断」する必要があり、誰がするかみたいなのがある。それが自分なら、自分に裁量権があるという事になる。
■大企業には裁量権がないのか?
たまに、ベンチャー企業の人事が、「大企業には裁量権がない。ベンチャーには裁量権があるよ!」と話しているのを聞く。そんなことを聞くたびに、果たしてそうなのか?と思ってしまいます。
自分が新卒で入った企業の話ですが、1年目の時に「100万円までの取引ならば自分で決めて良い」と言われて、勝手に取引していた覚えがある。
もちろん、それ以上の取引ならば、上長の承認が必要。さらにもっと大きくなれば部長、さらに〇億とかになれば、事業部長や役員決裁だったような気がします(結構前なのでうろ覚え)。
ここで、社会人1年目の私の決裁権は、数字で表すならば「100万円」である。何もかも自分で決められないというわけではなく、明確な裁量権があった。
■裁量権ってどうやって決まるのか?
では、入社1年目の私の100万円ってどうやって決まったのか?別に決定されたということはないが、先輩が「100万円くらいなら損しても簡単にリカバリーできるしね」と言われたのを覚えている。
商社のトレーディングや卸売りと言われる業態でいう失敗というのは「モノを売った販売先が倒産してお金を回収できない(もしくは仕入先にお金払ったのに倒産して仕入れができない)」ということである。
これは「金額」に関しての裁量権かなと思う。もちろん、裁量権にはやり方・プロセス等が決まっているかどうか、みたいなのもある。
■では、ベンチャーと呼ばれるところはどうなのか?
もちろん「裁量権」と呼ばれるものはあるのかもしれないが、別に全て「自由に勝手に決める」ことができるわけではない。
私が現職に採用担当として入社した頃、あまり決まった事はなかったが、かなり社長に提案した記憶がある。通ったものもあれば、ロジック破綻で突き返されたりしたもの、様々であった。そもそも新卒採用メインは一人だったので、どうすれば通るのかなどは考えたが、死ぬほどがんばって働いていて結果が出てくると、「好きにすれば良いよ」という言葉が増えていった。
最終的には、「○○人採用するために、○○と○○・・・を使って、各戦略はこうで、●●●万円、人件費込みで●●●万円使います」という説明で、あとは好きにやってみたいな感じになった。
■裁量権はその人の能力(実績)+期待値で決まる
やはり大きな仕事を任せるには、ある程度の能力(実績)がないと難しい。やってもらう仕事は絶対に成果を出して欲しい。ただし、新規事業など新しいチャレンジにおいて、能力があっても、実績があっても成功するかはわからない(同じことをするならば問題ないが)。要は、実績があっても再現性が高いか(成功確率が高いか)は判断ができない部分もある。
なので、ある程度「期待値」を込めて、仕事を任せるのである。
この「期待値」が、会社によって違う。本来ならば一人一人に設定されているものだと思うが、大企業になればそんなことするより、役職で縛ってしまった方が楽である(もちろん、新規部署に抜擢とかだと違ってくると思うが)。
■ベンチャーの方が期待値が高い?
じゃあなぜ、ベンチャーの方が「裁量権がある」と言われるのか?私の考えでは、社員数以外で新卒入社に対しては、
・採用しても採用しても事業が伸びているから人が足りない。ゆえに、ストレッチした仕事やポジションを任せざるを得ないことも多い(=期待値が高い)
・学生時代、長期インターンや自分で事業をやっていたり、1回あたりの面接も比較的長く、新卒としてではなく、ビジネスパーソンとして評価している(=現能力の適切な判断)
の二つなのかなと思います。
■結局、自分の能力を上げないと裁量権はない
では、ベンチャーの方が期待値高めで、入社さえすれば、どんどん何でもやらせてもらえる!となるかというと、そうとも限らない。
「期待値高めに取ってくれる(裁量権があると言われる)会社」に入ったとしても、結局は会社それぞれの判断ではあるが、期待値はそれまでの実績や人格(向上心や人間性)を元に決まるので、入社すれば思い通りというわけではない。
さらに最近は大企業も人を育てるための工夫や、幹部候補採用みたいな特化した採用も始めている。
今回は大企業とベンチャー、ファーストキャリアとしてどちらが良いかという話をするつもりはないので、あまりそこらへんには言及しないが、結論としては、どこにいっても裁量権というものは存在するが、自分の能力がない・上がっていかないと想像するような裁量権は持てない。
そう、裁量権は与えてもらうという感覚ではなく、自分で得ていくものである。
■裁量権があれば(自由に使えるお金があり、自分で意思決定できれば)、何も困らないのか
少し話は逸れるが、裁量権があればどんなことを感じるのかについて言及したい。
社長が、「新規事業をやりたい気持ちはわかるが、全員の希望をかなえていたら、1つの新規事業に億単位のお金が必要だから会社潰れますよ」というのをよく言っていた。確かにそうだなと思う。
現在、京都の責任者をやっているが、新規事業をやっていかないと今後伸びていくのは難しい。かといって、何でもかんでも新規事業をやらせるわけにはいかない。
商社時代含め、いかにお金(コスト)を削ってアウトプット(パフォーマンス)を出すかを考えていたが、こんなにお金を使う事(投資)が難しいとは思っていなかった。事業や戦略もそうだが、0→1の際に、「この人に○○円投資すればそれ以上の利益で返ってくる」という判断も非常に難しい。良い経験をさせてあげたい・信頼しているメンバーと思っていながらも、判断に躊躇するというジレンマに陥ることもある。
また、責任者ということはメンバーの責任も背負っている。社長ならば、社員とその家族の生活がかかっているし、チームならば評価にも関わってくるかもしれない。
よく言われる、自由には責任が付きまとうのである。何か制限されている方が楽な場合も多いのである。
ただし、成長や市場価値を上げるためには必要な経験であり、成功した時は何とも言えない大きな喜びがある。
■まとめ
まとまりもなく、いろいろと書いたが、簡単なまとめ。
・裁量権は自分の能力(実績)+期待値である
・期待値のつけ方は会社によって違う
・裁量権を得るためには、結局は自分の能力を上げる必要がある
補足
今回はやや金額による決裁権みたいな話に寄ったかなと思います。ちなみに、「新卒でも自由に決めさせてくれた!」みたいな話もよく聞きます。
これもある意味、「裁量権」なのかなとは思います。ついてくれている上司・先輩の裁量の中で、「責任は持つし、アドバイス等はするから提案持ってきて」みたいなものと思っています。
なので、これも社風やその人の「期待」を込めて、やってもらっている。ただし、上に人がついているので、「責任」はその人ではない。
書いていて思うに、「裁量」という言葉自体、きちんと定義するのは難しいのかもしれない。
■学生・若手向けの方へ
仕事以外でもキャリア面談をしています!現在は関西中心ですが、ご連絡いただければと思っています!