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島田荘司 「斜め屋敷の犯罪」読書感想

こんにちは、ジニーです。

何の予定もない日曜日の午後。
プロ野球の試合を観戦しながら、読書感想文を書いております。

今回は島田荘司さんの「斜め屋敷の犯罪」を読みました。
手にしたのは「改定完全版」です。

■島田荘司という著者について


島田荘司さん。
日本のミステリー作家として、あまりにも有名。
特に「占星術殺人事件」はその斬新なトリックで界隈を騒然とさせたのは、ミステリー好きであればどこかで必ず耳にしたり目にしたりするほど有名な作品です。

と、ここまで書いておいてお決まりのようなセリフを言いますが、僕、島田荘司さんの作品、今回が初めてでございます・・・w

いつか読もうとしていたのですが、なかなかタイミングが合わず、今回の「斜め屋敷の犯罪」でようやく島田荘司デビューいたしました。

え、なぜ「占星術殺人事件」からじゃないのかって?
それは、気分の問題ですね。
「占星術殺人事件」は最初の方が非常に難解な文章となっているということなので、通勤中に読むにはちょっと臆してしまいいわゆる「御手洗潔シリーズ」の2作目である本作に手を伸ばした形です。

■簡単なあらすじ


内容はミステリー好きにはたまらない館モノ。
北海道の最北端である宗谷岬にそびえ立つ「斜め屋敷」。
一代でハマー・ディーゼル株式会社を押し上げた剛腕社長、浜本幸三郎が建てた奇抜な屋敷。
この建物は「斜め屋敷」という名前の通り、一般的な建物が傾いている形状をしているのです。
『読者はマッチ箱を摩擦面を下にして置き、ちょっと指で押し傾けたところを想像していただけるとよい。傾斜角は五度かせいぜい六度といったところで、外からではほとんど解らない』(本文抜粋)
と著者自ら説明している通り、すべてが傾いており、それ以外は不通の建物であるため、窓などもそのまま傾いているという形状です。

年末を迎えようとする年の瀬に、この屋敷で行われるパーティーに集められた面々。
その中で密室殺人が発生します。
その事件が発生したと思われる事件の前後に、一人の客が見た気味の悪い表情をした、客には存在しない男。
いくつもの謎が重なる中で、再び起こる密室殺人。
犯人はだれか、どのようなトリックを使ったのか、気味の悪い男の正体は。

この作品の面白いところは、最初の事件が発生したあとすぐに警察がやってくるところです。
いわゆる外界から隔離されたクローズドサークルを舞台としているわけではなく、外界から人が訪れることができる中、物語が進むということです。
そのため、警察が事件の解決に躍起になっている中で、2つ目の事件が発生することになるわけです。
なんという挑戦的な状況。
警察の監視をかいくぐって、どうやって犯罪が行われたのか?
見どころの一つです。

■主人公、御手洗潔の持つ魅力


もう一つ、主人公である御手洗潔の存在も面白さの一つです。
冒頭で書いた通り、僕はこの作品で御手洗潔シリーズに触れました。
勝手なイメージから、非常に硬いイメージの人物像を持っており、硬派でクールな名探偵と思っていました。

が、そのイメージは一変。
御手洗潔って、こんな人だったんだ、という衝撃が登場とともに突き抜けていきます。
なんていうか、とらえどころのない曲者。
硬派?硬いイメージ?
思い込みというのは恐ろしいものですね、何一つかすっていませんでした。
最近読んだ本で似鳥鶏さんの「叙述トリック短編集」に出てきた別所さんという登場人物が近いイメージかも。

しかし、推理力は一級品ですね。
しっかりとこの謎だらけの不思議な事件を解決してくれます。

ちなみに、御手洗潔は本編の中盤以降から登場します。
満を持して、という感じでもありますが、登場してから物語の雰囲気がガラッと変わる感じがします。
それだけにこのキャラクターの持つ魅力が非常に大きということがわかりますね。

■トリックは館シリーズならではの奇想天外なもの!


トリックについては、館シリーズならではという感じです。
言葉を選ばずに言えば、バカミスに部類されるようなトリックかも。
でもそれが館シリーズの醍醐味じゃん!
むしろ、その奇想天外なトリックに、テンション上がっちゃいます。

本シリーズはまだまだ続き、いくつも名作が生まれています。
これを機に、島田荘司作品にも積極的に触れていきたいと思います。
なんやかんや御手洗潔の魅力にはまってしまった気がします。

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