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荻原浩 「誘拐ラプソディー」 読了

こんにちは、ジニーです。

9月に入りましたね。
台風が猛威を振るいそうな感じとなっていますが、愛知県は今のところ快晴です。

さて、読書感想を書いていきましょう。
今回は、荻原浩さんの「誘拐ラプソディー」です。

以前からいくつか荻原さんの作品は読んでいますが、ずっと気になっていた作品。
タイトルの面白さもそうですが、表紙の絵の哀愁というか、何とも言えない感じに興味をひかれていました。

■簡単な物語の紹介

物語の主人公は伊達秀吉という金もなければ結婚もしていない、しがない38歳の男性。
窃盗の前科がありながらもそれを承知で雇ってくれていた会社の親分を殴って車を奪って途方に暮れたところから物語は始まります。

どうしようもないことをしでかしてしまったという後悔から自殺を凍ろ見ようとする伊達秀吉。
しかしことごとく失敗。
というか、なんかかんか自殺をしなくてすむ理由を並べて諦めるという感じ。
「ハッキリせいや!」と思わず突っ込みたくなってしまします。
なんというか想像以上にダメな男が主人公だぞこれw

■数ページ読んだだけでわかるドタバタ感

冒頭から、徹底的に伊達秀吉という男のダメさ加減を見せつけてくるとは想いもしなかったのですが、ここに伝助という子供が加わります。
この伝助が誘拐をされる少年なのですが、またこの少年が世間知らずで呑気な子供で、ドタバタ劇が確定するのは間違いないという状況が着々と進んでいきます。
しかしこの伝助、家に秘密があって・・・。

思い付きでスタートした誘拐事件。
昔刑務所で顔なじみだったおっさんのアドバイス(捕まっている時点でアドバイスとして不的確w)を頼りに行き当たりばったりの計画は実行されていきます。

■これはお笑いつっこみ養成指南書ですか?

本作はなんといっても秀吉と伝助のドタバタな関係性が一番の魅力。
誘拐犯と誘拐された子供とは思えない漫才のような掛け合いと、短絡的で、楽しんだり後悔したりと浮き沈みの激しい感情。
読者を強制的に突っ込み担当にさせてくる、お笑い養成書のような小説です。

なお、採取的に警察ややくざ、チャイニーズマフィアなども絡んできて、追うものと追われるものの立場も描かれていきます。
秀吉と伝助のゆるさと、警察やヤクザといった本職の「しっかり働く人たち」のコントラストも見事で、その緩急が、グイグイと読みこませるいい味になって
いるように感じます。


果たしてこの誘拐はうまくいくのか?
物語の行く末は、いかに。

■個人的に気になったところ

個人的には終わり方にもう一波乱あっても良かったかなと思ったり、あと、ちょっと直接的な下ネタがあったりしますが、これもそんなにいらなかったかなと感じたりはしましたが、最後まで楽しんで読めるエンタメ性の高い作品でした。

他にも荻原さんの作品は気になっているものがあるので、
読んでいきたいなと思います。

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