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画家ピロスマニに関する新刊

 ジョージアを代表する画家でピカソをして「ジョージアに私の絵は要らない。なぜならピロスマニがいるから」と言わしめたニコ・ピロスマニ。
 そのピロスマニの生涯を描いた書籍が刊行された。ギオルギ・ガメス著、 児島康宏訳「ピロスマニ 放浪の画家と百万本の薔薇」(出版社:書肆侃侃房(しょしかんかんぼう))だ。価格は本体2000円。
 女優マルガリータとの運命的な出会いと別れ。失意のうちに世捨て人として孤独に人生を終えたピロスマニの人生が蘇る感動のグラフィックノベル。
 歌手・加藤登紀子さんの代表曲のひとつ「百万本のバラ」はこのピロスマニのことを歌っている。1980年代、ソ連(当時)でヒットしていたこの歌に日本語詞を加藤さん自身がつけて歌った。

加藤登紀子さん


 ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使はコメントを寄せている。
 「ニコ・ピロスマニの絵は一度観ただけで心に届く不思議な力を持っています。愛に人生を捧げたピロスマニは、同時に貧しく世にも儚い生涯を送ることになったのです。この本では、我らが愛する「ニコ」という人物を垣間見ることができます」。
 ピロスマニは1862年、ジョージアの農村に生まれた。そして父母を亡くした8歳で首都のトビリシに出た。幼いころから読書や絵を描くことを好み印刷工などの職に就いた。この頃、フランス人女優マルガリータに恋したピロスマニが、彼女の滞在するホテルの前の広場を花で埋めつくし一文無しになったという逸話が生まれる。
 その後は、絵を描いては報酬として酒や食事を得る放浪生活に入る。前衛芸術家たちに見出され脚光を浴びるも、大戦によって生活は困窮を極める。1918年、町の片隅で死去。
 独自の手法により、人物や動物、農村風景、伝説などを描いた作品群は、没後も国内外から高い評価を受け、現在もジョージアを代表する国民的画家として、人々から親しまれている。
 そのピロスマニのことを書いたギオルギ・ガメズはジョージアのアーティスト。漫画家兼イラストレーターとしても活躍している。トビリシ国立美術アカデミーを卒業。街角の壁から書籍、雑誌の表紙、印刷物、オンラインメディアなどで活動。
 訳者の児島さんはコーカサスの言語の研究者でジョージア(グルジア)文学・映画の翻訳。福井県あわら市出身。トビリシ在住。

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