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原田真二ライブと東日本大震災


 2023年3月10日(金)、新宿ReNYで原田真二さんのデビュー45周年記念ライブが行われた。コンサートの間中、LPレコードを掲げて大声で応援している女性が最前列にいるのに気がついた。
 そのLPレコードは原田真二さん2枚目のアルバム『ナチュラル・ハイ』。レコードを手に応援していたのは安藤由佳(あんどう・ゆか)さん。
 安藤さんの声援の声をよく聞くと「震災を生き延びたレコードです!」というようなことを言っていたように思えた。終演後に話を聞いた。


 すると、2011年の東日本大震災の時は、安藤さんは仙台市に住んでいたのだという。実家は水浸しになり、大切なモノはみな水に浸かってしまった。後日、父親が片付けようとしていた「ゴミ」の中から「思い出のレコード」が一枚無事だったのを見つけて、取っておいてくれた。
 「真二さんのレコードは一枚だけ残ったのです」と安藤さん。
 安藤さんの父親は、余震などの影響から震災関連死してしまった。
 ファンクラブに入ってレコードを集めるなど、原田真二さんに夢中になった青春時代。そして大好きだった父親。そうした想い出を胸に秘めて原田真二さんのデビュー45周年を祝うコンサートにやって来た安藤さん。
 デビュー時はアイドル扱いされた原田真二さん。吉田拓郎さんに見出され、「てぃーんずぶるーす」、「キャンディ」、「シャドーボクサー」、「タイムトラベル」などのヒットを連発した。
 その後、アイドルからアーチストへと転身を図っていった原田真二さん。彼のキャリアを俯瞰出来る素晴らしいコンサートだった。ギターを抱えて間奏を弾きまくり、デビュー当時のようにキーボードの前で歌った原田さん。
 原田さんの歌声とともに安藤さんは自らの青春時代がきっと脳裏に蘇ったことだろう。そして手にしたレコードとともに大好きだった父親のことも。


  

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