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昭和サブカル対談(其の一)

 サブカルチャーを語らせたらこの人の右に出る者はいない泉麻人さんと昭和歌謡への愛では誰にも負けないタブレット純さんが昭和を語り合った。今回のテーマは日本列島ご当地ソングだったのだが・・・
 2023年4月30日(日)によみうりカルチャー荻窪で開かれた「泉麻人Xタブレット純 昭和を語る PART4」でマルチな才能が顔合わせした。
 泉麻人さんは昭和30~40年代にかけて多感な少年時代を過ごした。一方、昭和49年生まれのタブレット純さんは、ムード歌謡のマヒナスターズの元メンバーで歌唱力に定評がある芸人でもある。
 前回の日本列島ご当地ソング対談はザ・ジェノバの「さよならサハリン」から始まり、東京に入ったくらいまで来たのだという。今回は、まずタブレット純さんが青江三奈さんの「池袋の夜」を歌いながら会場に現れた。
 曲の最後の「夜の池袋」という歌詞を「昼の荻窪」と替えて歌って、拍手が沸き起こった。タブレット純さんは「Pink House」の文字が胸にプリントされたピンク色のシャツにタータンチェックのズボンといういで立ち。

まずは80年代トークから
 まずは、80年代の話に華が咲いた。泉麻人さんがかつて立花隆さんのことを「かっぽう着が似合う」と言っていたとタブレット純さんがいうと、泉麻人さんは「立花さんがスプーン曲げの少年を叩いていた頃です。いくら田中角栄を糾弾していても近所のおばさんのようで本気になれなかった」。
 話はあちこちに飛んだ。タブレット純さんは関根勤さんが「翼の折れたエンジェル」という歌のタイトルを「恥骨の折れたエンジェル」と言っていたことを紹介。「ぼくは何でかそういうところに関心がいっちゃって」。
 話が続いた。しばらくして「レコードの調子を確かめるため」(タブレット純さん)にオスマン・サンコンさんの「アフリカの人」のシングル盤をかけた。アフリカにまでご当地ソングが行ってしまったのかと思いきや、次は「ご当地ソングの定番」である横浜方面へ。
 勝新太郎さんの「シーサイド横浜」(昭和43年)が紹介された。勝さんの歌唱力が堪能出来るシングル盤だ。「当時あった大映レコードでは一番売れたといわれています」(タブレット純さん)。
 そして次のようなエピソードが披露されたー「勝さんが(麻薬取締法違反のための)”おつとめ”を終えて自宅に帰った時、まずピンポンを押そうとしたら”ヒロポン”だと勘違い、珠緒さんの”お帰り”が”コカイン”に聞こえて、さらに「何を食べます?」と聞かれて”シャブシャブ”と答えた」。


 次にかけられたのはカルーセル麻紀さんの「愛してヨコハマ」(昭和43年)。カルーセル麻紀さんは「女性以上に魅力的です。元男性なのでツボが分かっていて・・・」と言いかけてタブレット純さんは黙ってしまった。


 泉麻人さんが持参したレコードの中からピックアップされたのは深津絵里さんの「YOKOHAMAジョーク」(昭和63年)。「当時、深津さんは小沢健二さんとつきあっていた」と泉麻人さんはあっけらかんと語った。


 次は白石まるみさんの「YoKoSuKa 愛の色」(昭和57年)。泉麻人さんは一言ー「完全に聖子ちゃん」。白石さんには「オリオン座のむこう」という歌もあり、テレビドラマ「意地悪ばあさん」などに出演していた。
 次はいきなり山梨県へ。ダニー飯田とパラダイス・キングの「甲府ブルース」(昭和43年)のシングル盤をかけた。タブレット純さんは「なぜかカラオケに入っていて、よく歌う正統派ムード歌謡です」という。


 続けてごく初期の研ナオコさんが歌った「京都の女の子」(昭和47年)。「ちょっとベンチャーズっぽい」とタブレット純さんは評した。作詞阿久悠さん・作曲森田公一さんの名曲「青春時代」コンビの楽曲で、「ヒットしなかったけれど聞き覚えがあります」(泉麻人さん)。


 長渕剛(つよし)さんがまだ剛(ごう)さんと呼ばれていた頃の「幻のデビュー曲」だという「雨の嵐山」(昭和52年)が披露された。
 「貴重盤です。長渕さんは挫折して一度福岡に帰ったといいます」(タブレット純さん)。今は翌年の「巡恋歌」がデビュー曲だと思われている。
 そして、「十三(じゅうそう)の夜」をタブレット純さんが歌った。これは藤田まことさんが大阪の歓楽街「十三」を歌った作品だ。さらにマニアックになり、自主製作盤で大阪みちよさんの「大阪育ち」(昭和41年)を紹介。「テイチクって書いてあります」(タブレット純さん)。
 最後は内山田洋とクールファイブで今では知られる「中の島ブルース」だが、秋庭豊とシャネル・フォー(のちのアローナイツ)の歌唱によるシングル盤が披露された。最初は札幌だけのご当地ソングだったという。「秋庭豊さんもアローナイツもみな北海道出身の炭鉱夫で、彼らが作ったバンドだったからです」とタブレット純さんは解説した。


 締めは泉麻人さんがカラオケでいしだあゆみさんの「思い出の長崎」(昭和46年)を歌った。筒美京平作曲の作品だ。最後は泉麻人さんにタブレット純さんが加わって、エンディングを迎えた。
 マニアックな1時間半だった。次回を楽しみに待ちたい。泉麻人さん、タブレット純さん、どうもありがとうございました。



 
 
 
 
 


 

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