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原子力規制委1.24会見

 原子力規制員会の山中伸介委員長は、今回の能登半島地震を受けて原発の立地に問題はないのかと問われて、北陸電力志賀原発(石川県)については「一定程度の安全は担保されている」と述べた。
 建設が予定されたが中止された珠洲原発について、もし建設されていたら今回の地震でどうだったのかと質されたが、山中委員長は実際に建設されていない原発については「何か発言する立場にない」とした。
 2024年1月24日(水)に開かれた定例記者会見での発言だ。
 海底の断層や隆起について、山中委員長は「これまで詳細に調査されて審議されてきていると考えている」ので審査のやり方を見直すつもりはないと述べた。しかし同時に、新しい知見が出たらそれを審査に取り入れていかないといけないと付け加えた。

山中伸介・原子力規制委員長


 北陸電力は震源断層と重なる断層帯が96キロにわたるとしているが、そもそもそれは150キロぐらいの長さだとの推定もあった。
 「想定がかけ離れていること」について山中委員長は「現在考えられている断層帯だけでもまだ審査の最中であって基準地震動が決定されたわけではないと私自身思っている。今回能登半島地震起こした新しい断層の影響は、どういう断層か新知見が固まるまではきちんとした基準地震動を決定するという評価は出来ない」と話した。
 基準地震動とは。原発の設計や安全確認の基準となる模擬計算でつくられた地震のゆれの大きさ・強さのことである。
 また、自然災害そして原発事故時の避難に関して、山中委員長は「原子力災害が起きた時とるべき対策は(原子力防災対策)指針の中にある。基本的に我々としては基準を満たしていれば許可するが、稼働について我々は許可することはない。防災基本対策については自治体と内閣に立ててもらう」。
 「我々は(地震のような自然災害の後に原発事故が起こる)複合的災害が起こった場合の原子力についての科学的、技術的助言をするのであって、決して稼働を我々が決めるわけではない」。
 これまでの10年そしてこれからの10年ということで作成されるリスクマップに関連して、今後はデブリ(事故によって溶けた燃料などが冷えて固まったもの)の取り出しなど放射性廃棄物処理に伴い作業員の安全がより問題になるのではないかと質問がなされた。

高線量下での作業員の安全
 これに対して山中委員長は「次の10年、サイト内の廃棄物の分析、分類、処理、処分、適切な管理が重点になる。出来るだけサイト(原発)内リスクを低い状態に持っていくことが一番大事な10年になる」と述べた。
 「こういう状態に持っていきたいという像を描いたうえで、各年度をどうリスクを下げていくのかという考え方でリスクマップを作成してはどうかとアドバイスしている」ところだと山中委員長はいう。
 「全体のリスクを下げる中でこれからの10年は高線量のモノもきちんと分類して安全に保管するという作業を進めていっていただかないといけない。作業員の放射線防護どういうようなかたち、あるいはどういうふうな施設を作って作業を進めていくのかきちんと議論していってもらいたい」。
 
 

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