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旧青線地帯「黄金町」を歩く

 横浜駅から京浜急行線で3駅目に黄金町(こがねちょう)駅がある。伊勢崎町や野毛にも近いエリアだ。

 

 ここはかつて非合法の売春宿が立ち並ぶ青線地帯だった。
 今でこそ地元民の努力によってアートによる街づくりが進められているが、かつての面影を垣間見ることは出来る。
 黄金町駅から大岡川に沿って日ノ出町方面へ歩いた。

大岡川

 するとすぐに川べりに長屋風の建物が現れる。またガード下にも同じような造りの建物が見られる。これらは1階で客引きをして2階でことを致す売春宿、「ちょんの間」とよばれた住居の集まりだ。

 

 戦前から大岡川を利用した船による運送が発達し、黄金町は問屋街として栄えた。戦後は高架下にバラック小屋の住居が集まって飲食店に。そこに女性が買春する客をとる「ちょんの間」が現れた。
 横浜市内に米軍駐留施設が置かれた影響もあった。
 一時期は売春宿や風俗店が並ぶ街となり、関東でも一二を争う青線地帯だったという。またヒロポンやヘロインといった薬物汚染が深刻化した時期もあった。立ち入っては行けない危険地域だったようだ。
 また水上に不法の家が浮かび「大岡川スラム」とよばれた。昭和29(1954)年に強制撤去され、地上に移された。
 昭和38(1963)年の黒澤明監督の「天国と地獄」の誘拐事件の犯人は逃走中、黄金町地区で禁断症状が出ている女性をヘロインで殺害する場面が登場する。鈴木清順監督「密航0ライン」には大岡川スラムが登場する。
 現在、川の両岸には桜が植えられおり、春になると花見の名所として多くの花見客が集う。かつては桜でなく柳が植えられていたそうだ。

 


 昭和37(1962)年7月、警察の取り締まりによって麻薬が手に入らなくなって、数百人の麻薬中毒者が路上で禁断症状を起こすという事件もあった。この騒ぎをきっかけに麻薬対策がある程度は進んだという。
 日本人売春婦のみならず東南アジア、中国、南米出身の女性も春をひさぐようになった。一時は1000人程度の外国人娼婦がいたとされる。
 2002年、住民は「風俗拡大防止協議会」を結成。高架下のおよそ100店が立ち退いたが、周辺に拡散。逆に約250店に増加して環境が悪化する。2003年、行政、警察などとの連携によって「初黄・日ノ出環境浄化推進協議会」が発足。住民らは国に売春防止法の罰則強化などを求めた。

「初黄・日ノ出環境浄化推進協議会」の掲示板
交番には「伊勢佐木警察署 歓楽街総合対策現地指揮本部」との黄色いプレートが


 2005年には警察による徹底的な摘発が行われた。「バイバイ作戦」と称された大規模作戦では、多くの警察官がこのエリアに突入して、売春宿の一斉摘発を行った。約半年ですべての問題店が閉店した。
 黄金町のイメージアップを図るため、「アートによる街づくり」も進められている。空き家となった元の売春宿を市が借り上げて、2009年に発足した「NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター」が管理している。
 高架下には「黄金町芸術センター」があり、集会場、ギャラリー、カフェ、工房、スタジオ、オフィス、ライブラリーなどが集まっている。
 「初黄・日ノ出環境浄化推進協議会」の黄金町街づくりニュース2023年12月号には、「普通の町になったならば協議会の名称も「環境浄化」から「アートのまちづくり」に」変えてほしいとの声が掲載されている。

 
集会場の様子 
 黄金町BASE

 ガード下のホステルTinysも2018年にオープン。

 Tinys ホステル
横浜SUPステーション、水辺荘

 さらに日ノ出町方面に進むと飲食店が高架下にある。ここはかつて「日ノ出町フードホール」だったとの表示があった。

「旧日ノ出町フードホール」とあった

 川の反対側に渡った。しばらく歩いて目に飛び込んできたのは「タイ古式リラクゼーション」の大きな看板と店だ。
 その近くには「ヨコハマアジアンダイニング」があって、インド・ネパール・ベトナム・タイ・アジア各国料理と書いてある。

 他にも興味深い店があった。紙芝居、それに使う拍子木や舞台を取り扱っている「イセザキ書房」。また、創業明治とある、すきやき、しゃぶしゃぶ、会席料理の「じゃのめや」も。

 

 横浜を代表する映画館「ジャック&ベティ」もこのエリアにあるが、コロナによるダメージもあり経営難から現在クラウドファンディングを実施中。


 「閉館待ったなし」として広く支援を求めており、2024年1月末まで予定されているクラファンの目標額は3000万円。
 銀行振込の場合は名前と住所あるいはメルアドと同じ名前で「城南信用金庫 横浜支店 普通預金264967 株)エデュイットジャパン」まで。あるいは劇場窓口にて申込用紙記入のうえ、現金でも受け付けている。


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