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ベテラン映画人・矢間秀次郎

 映画プロデューサー矢間秀次郎(やざま・ひでじろう)さん。80歳を超える矢間さんが主なテーマとしているのは脱ダムと脱原発。環境問題と関わり始めたのが今からおよそ50年前という大ベテランだ。
 東京都下の野川を守る運動からスタートした。現在は「千曲川・信濃川復権の会」の事務局長を務める一方、環境雑誌「奔流」の編集人でもある。

矢間秀次郎jさん


 そんな矢間さんの代表作は『シロウオー原発立地を断念させた町』(2013年・第3回江古田映画祭観客賞受賞)、『いのちの岐路に立つー核を抱きしめたニッポン国』(2017年)、『悠久よりの愛―脱ダム新時代』(2021年・第39回日本映画復興奨励賞受賞)。
 まずは『シロウオ』。「今から30年以上も前に、「いつか必ず原発事故が起きる。危険な原発は建てさせない」と住民が反対運動を行い原発計画断念させた場所が全国に34か所あった。中でも紀伊水道をはさんで、双方の住民たちが協力し合い、原発計画を断念させたのが、徳島県阿南町椿町の「蒲生田原発」と、和歌山県日高町の「日高原発」だ」。


映画「シロウオ」より


 そして『いのちの岐路に立つ』。福島第一原発事故による避難地域の解除が進む中、放射能の「緩慢なる脅威」 が広がり、原発崩壊が故郷崩壊に連鎖している。「唯一の被爆国」を喧伝する政府。ヒロシマ・ナガサキの被爆死者21万4千人。ビキニ水爆実験による船員たちの被爆、原発労働者の被曝が続く。なぜ、原発再稼働にこだわり、核による厄災を繰り返すのか。
 今や、「放射線危険管理区域マーク」が日本列島におおいかぶさっている。保守・革新やイデオロギー、老若男女を問わず、だれもが「いのちの岐路」に立っている。


 『悠久よりの愛』。日本全国で2千700以上も存在しているダム。水害などの自然災害が急増・甚大化する中、私たちに必要なのは「ダム増強」なのか「脱ダム」なのか?悠久の自然と人との共存を模索するドキュメンタリー作品である。



 矢間さんはいうー「日本は土建国家。有事においては戦争のために、その命である鉄とコンクリートを使うことが出来た。平時においては、公共事業を推し進めることでこれらをふんだんに使ってきた。戦争を望む人たちの中には、鉄とコンクリートを使う場所ー「土建国家版ニューフロンティア」を求めてという経済的理由があるのです」。
 矢間さんには『揺るぎの時代を生き抜く』(合同出版)という著書もある。宮本憲一滋賀大学名誉教授がオビに寄せた言葉には次のようにあるー「これは水環境という至高の公共財をまもるために市民とともに50年間、研究と運動を続けた公務員の素晴らしい記録である」。

 「河川を汚染し、ダムや原発によって国土を破壊した企業と政府の失敗を的確に批判し、今後の環境政策の展望をしめした珠玉の評論集である」と。 お勧めします。ぜひとも、矢間さんのドキュメンタリー作品をご覧になってみませんか。各地での上映会の相談も承っているそうです。 環境雑誌「奔流」およびドキュメンタリー映画についてのお問い合わせは:〒184-0012 東京都小金井市中町2-5-13:電話&ファックス042-381-7770まで。  


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