コロナ禍在宅看取り9(ホスピス退院)
ホスピスに入院してからは、毎日テレビ電話をしていました。
初日は痛みもなく、病院という安心感もあって
自宅で過ごしている時より顔色も良く、元気に見えました。
しかし2、3日すると帰りたいという言葉を頻繁に口にするように。
毎日ベッドから動くこともできず、同じ窓の外の景色。
動かないのであまりお腹も空かないが、時間通りに出てくる食事。
取りたいものもナースコールを押してわざわざ取ってもらう申し訳なさ。
もういいかなと諦めたものもいくつもあると話していました。
その電話の後父に電話を入れて、自宅で看取りたいと伝えました。
妹2人にも連絡を入れ、在宅で看取りたいと話をすると
2人とも喜んで賛成してくれ、交代で自宅に来てくれることに。
父の承諾を得てすぐに、ケアマネージャーさんと
介護福祉用具のレンタルでお世話になっていた担当の方に連絡を入れたところ
介護ベットなどの手配をしてくださいました。
次の日母の入院するホスピスに父と行き在宅で看取りたいことを伝え
必要なケアができるように訪問医の先生と訪問看護の病院を紹介していただき
手続きはあっという間に終わりました。
そして1番想定外だったのが帰りの交通手段でした。
父は母が車椅子でも乗り降りがしやすいようにと
セダンからスライドドアの車両に乗り換えたので
それで帰宅するつもりでいたのですが
ホスピスの婦長さんから車で帰宅するのは無理だとお話がありました。
股関節の骨折もあり、骨転移で骨が脆くなていることもあって
ベッドから動かすことができないと。
自家用車がダメなら、介護タクシーぐらいしか思い浮かばなかった私たちですが
婦長さんは民間の救急車があることを教えてくださました。
何日か前まで、痛みに耐えながら自宅でお風呂にも毎日入って生活していた母が
1週間ちょっとの入院後にはもうベッドで最期を迎えることが決まってしまったと
とても複雑な思いでいっぱいでした。
同時に、そんなに進行していたのかと
これまでの自宅での生活も申し訳ない気持ちにもなりました。
民間救急車の日程と、介護ベッドの日程を調整していただき
すぐに退院することができました。
本当にたくさんの方にお世話になり
知らないこともたくさん経験することができました。
民間救急車の料金を参考までに記しておきますが
約20キロの移動距離(車で30分ほど)、高速道路使用、運転手1人、介助1人、
看護師の方にも同乗していただき8万円弱ぐらいでした。
自宅に到着すると母の状態を心配してくださった訪問看護の看護師さんが
お二人、訪問時間よりも1時間以上も早く来てくださっており
ホスピスの看護師さんから、病院を出た連絡とともに
自宅のベッドへの移動時の骨折が心配ですとご連絡があった旨伝え聞き
みなさんの親切さに本当に涙が出ました。
心遣いがとても嬉しく、こんなにもたくさんの方に支えていただけることに
感謝しかありませんでしたし、今でも本当に有意義な時間を母と過ごせたこと
とても感謝しています。