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落語日記 まだまだお元気なぺぺ桜井先生は演芸界の宝

第29回 馬治丹精会
10月13日 日本橋社会教育会館
裏方のお手伝いをさせてもらっている金原亭馬治師匠主催の独演会。受付などのスタッフ仕事の合間に、客席脇の通路から時々覗かせもらう程度でしか高座を拝見できなかったのはいつもと同じ。なので、この日記では高座の感想は無し。

この日のトリネタは、開催日が13日の金曜日に因んで「死神」。ネタ下ろしではないが、記録を見ると、私は2018年11月に全生庵での口演を聴いている。その後の他での口演は不明だが、それにしても、おそらく久しぶりの蔵出しの高座だったと思われる。
この演目は、下げが演者によって異なり、どんな下げなのか、下げにどんな工夫がされているのか、そんなところが注目される噺だ。若手からベテランまで、広く口演されている人気の演目。筋書きも最後の場面も落語ファンならお馴染みの噺。なので、他の演者と比較されながら、観客の厳しい目をもって聴かれている。それだけに、難しい噺でもある。
終演後に顔見知りの観客の皆さんから感想を聞くと評判が良かったようで、なかなか上出来だったようだ。
注目ポイントの下げだが、今回のは前回聴いたときとは違っていた。久しぶりに掛けるうえで、この下げの部分を改良したようだ。この下げだけに関して言うと、ネタ下ろしだったのかも知れない。

ゲストは、この10月10日に満88歳を迎えたぺぺ桜井先生。長寿祝いは数え年でとの考えもあるが、この日の高座は誕生日を迎えたばかりで、満88歳というお目出度い長寿を祝うせっかくの機会になる。なので、馬治師匠は米寿のお祝いを用意して、ペペ先生の公演終了の直後に舞台に登場して、サプライズでお祝いをプレゼント。ペペ先生も驚かれていたが、笑顔を見せて喜んでくれたので、会場全体が祝賀ムードであふれる。こんなお祝いは気分が良い。
舞台では、相変わらずお元気なギター漫談。楽屋ではのんびり過ごされていたのが、舞台に立つとしゃんと背筋が伸びるところが凄い。長寿の時代とはいえ、88歳で現役芸人を続けているというのは本当に驚異的なこと。拝見するだけで、パワーと元気を貰える。
ギター演奏も凄いが、ハーモニカを演奏しながら歌をうたうという、本当に馬鹿々々しく可笑しい芸を一生懸命に披露されていたペペ先生。先日のこぶし寄席で柳亭こみち師匠が、鈴本演芸場で「ぺぺとこみち」というコンビ名で二人で高座に立った話を聞いたばかり。微笑ましい舞台の様子が想像できると同時に、観客だけではなく、落語家や芸人仲間からも愛されていることが伝わる話なのだ。
まさに、ペペ先生は演芸界の宝だ。そんなペペ先生と、ご挨拶させていただいただけでも感動もの。演芸ファンとしても、ペペ先生の健勝を祈りつつ、現役の舞台を少しでも長く拝見し続けたいと願うばかり。

番組

金原亭駒平「元犬」

ぺぺ桜井 ギター漫談

金原亭馬治「茶の湯」

仲入

金原亭馬治「死神」


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