かわいい顔してあの子割とやるもんだね　～バターナッツかぼちゃのポタージュ～

昨年の10月頃のこと。
その頃仕事量が自分にはあまりにも多くなり、負担の影響が身体に来ることも出てきて、疲れ果てていました。

そんな中、ふらっと、これまで自分の意志で行ったことのなかった鎌倉の銭洗弁天へ足を運んでみることに。

ここね。激しい傾斜がおわかりいただけるでしょうか。
駅前からの通りはここまでじゃないけど、それでも結構な坂。

鎌倉駅西口を出て市役所の前を通り、ずっと続く坂道をちょっと行っただけで身体が重くゼイゼイハアハア。
蓄積した疲労と日頃の運動不足がたたりもうしんどい。
と思った矢先に見えてきたのは、山小屋のようなつくりの小さなお店サスケストア。

店内には所狭しと棚に旬の地場野菜が並び、店内に客が2,3人も入ればぎゅうぎゅうになりそうなほど。店奥のショーケースには野菜を使った総菜が並んでいました。
何種類か並んだ野菜の中でも一際異彩を放っていたのが、ひょうたんのように丸みを帯びて細長くウエストの部分がきゅっと締まったベージュ色のもの。恐らく収穫の際に刈り取られた茎であろう部分が立派な太さで、枯れた色をし、まるで小さなお帽子を乗っけているみたい。
絵に描きたいようなひょうきんさを漂わすそのもの名前は、バターナッツかぼちゃ。

その時のものじゃない（一連の写真を取り損ねた…）けど、これがバターナッツかぼちゃ。こういうひょうたん型のかわいいフォルムをしています。
見るからにウリ科。顔を描きたくなるかわいさ。

お店の方が試食にと、扱っている野菜で作ったちょっとした料理を3品ほどちょっとずつ並べたプレートを出してくれました。
その中には、バターナッツを使ったポタージュも。
一口そのポタージュを飲むと、ジュースかというくらいびっくりするほど甘い。ポタージュのはずなのにするっと喉を通ってあまり舌の上に残らないほどサラサラ。
お昼がおにぎり1個だけでおなかがすいていたのか、それともかぼちゃの持つ疲労回復の作用か、ポタージュが疲れ切った身体の端々にじんわり伝わっていき活力が湧いてくるよう。
未体験の美味しさに、えらい勢いでお店の方にどうやって作るのか聞いてしまいました。
すると、他のポタージュと同様に、小さく切ったバターナッツとみじん切りにした玉ねぎを炒め合わせ、ミキサーにかけ、牛乳でのばし、コンソメと塩コショウで味を調えておしまい。甘みは足しておらず、バターナッツの持つ甘みとのこと。
これからの道のりを考え少し躊躇いはあったものの、あまりの感動とまたとない縁だから1つ購入することにしました。

おかげで無事に銭洗弁天に行け、さらにはもう少し先の源氏山へ。

前置きが長くなりましたが、これが私とバターナッツとの出会い。
家で作ったバターナッツのポタージュも、格別の味でした。

ポタージュはミキサーでペースト状にした後に裏ごしをした方が舌触りが滑らかになりますが、バターナッツは繊維が少なく、裏ごしせずとも繊維が気にならない（むしろ潰しきれなかった玉ねぎが気になる）ほど。
もしかしたら、繊維が少ないから甘みがダイレクトに感じられるのかもしれませんね。

割ると、中は柿のような鮮やかなオレンジ色。そのまましばらくすると、断面にじっとり水分が浮かんできます。
ウリ科特有のちょっと青っぽい爽やかな香り。メロンっぽい香りと言う人もいるらしい。
下側のふくらみ部分に種が入っています。

皮をそいでわたと種を取った実を細かく切り、バターを溶かした鍋にみじん切りにした玉ねぎとともに入れて蓋をし、弱火で蒸し炒めに。
（私は切ったものの置き場に困るので、切ったものからどんどん鍋に投入。）

洗い物や掃除など他の作業をする合間に時折混ぜ返し、しばらく蒸し炒めしていると、ぐつぐつするくらい水分が出てきます。

水を加えずともこんなに水分が。

バターナッツがちょっとつついただけで形がなくなっちゃうくらいになったら、火からおろし、ミキサーへ。（あまりにホカホカだと火傷しそうで、私はちょっと熱さが落ち着いてから。）
この段階で既に甘みが出て美味しい。

ミキサーにかけたら、あっという間に滑らかなペースト状に。

あんまあああああい。

鍋に再び戻す時にミキサーにこびりついた部分を掬い取ってはなめちゃうのも仕方なし。

大きいバターナッツ1個だと大体4人前くらいのポタージュになるから、すぐには使わない分のペーストは冷凍庫へ。

鍋に戻したら牛乳でのばし（ミキサーに牛乳を入れて残ったペーストをこそげ取ってから）、お好みで塩コショウやコンソメを。
私は蒸し炒めする際に入れたバターのコクと塩っ気だけでお味満足。

ちょっと彩りに乾燥パセリをぱらりと。

このポタージュといいパンがあれば、心身が癒され幸せな気持ちになるんです。
頑張って作ってよかった。

バターナッツはスーパーよりも、八百屋さんや地場野菜をよく扱うお店、道の駅で見かけるかも。大体10～11月頃に見かけますでしょうか。


こんなにかわいくて、やるじゃん君。