空間レシピを始めるにあたって
編集長の丸田です。
このたび、空間レシピを立ち上げました。どうぞよろしくお願いします。
空間レシピは、空間や場所の観点からデジタル社会を考えるメディアです。
空間や場所は、いわば述語。空間や場所から考えるということは、主語である人や集団(そしてモノ)を、述語側から捉え直すことです。主語を直接理解するより、幅広い理解を得ることができます。
われわれは今、アフターデジタルといわれる世界、物理空間とデジタル空間が並存するデジタルツインを生きています。この未経験の世界へ、そこを生きる個人や企業へ、少しでも空間レシピのメッセージが届けばと思っています。
もう15年前になりますが、2008年に出版した『場所論』(NTT出版)では、デジタル空間の定着を前提に、デジタル空間の空間特性や場所性(生きられた空間)を明らかにするとともに、残余としての現実空間の行方を探りました。
現在でも、そこで提示した空間的な見方は有効だと思います。その後、DXによる組織的なデジタル化が進み、メタバースなどの新たな仮想現実が誕生しました。しかし、我々の実存的な不安が解消されたわけでも、データドリブンな企業経営が定着したわけでもありません。
そこで、空間や場所からデジタル社会を捉え直し、空間レシピらしく空間素材や下ごしらえのポイント、調理手順といったメッセージを届けていきます。
また、空間や場所に関して独自の視点や意見をお持ちの方々と交流していきたい。そんなことがこのメディアを通じて可能になれば存外な幸せです。